2月11日は、「世界病者の日」です。この日は「ルルドの聖母」の記念日であることから、それに合わせて、聖ヨハネ・パウロ二世教皇が1993年に始めたものです。
目的は、病者がふさわしい援助が与えられるように、また苦しんでいる人が自らの苦しみの意味を受け止めていくための必要な援助が得られるように祈り、そして訴えていくものです。
ルルドの聖母は、1858年2月11日にフランスの小さな町ルルド付近の洞窟で、聖母マリアが少女ベルナデッタに現れました。この聖母マリアの出現は、教皇の訪問によって、教会から神聖なものとして認められ、年間500万人もの巡礼者が訪れています。そしてルルドから湧き出た泉の水によって、病人が癒され、その話題が広まって、奇跡の癒しを求めて、世界各地から訪れる人は今でも絶えません。実際、不治の病気が癒された奇跡的な症例はあるようです。しかし、ルルドの癒しを求めて訪れる人々の数を考えますと、あるとは言え、癒された人は一握りに過ぎないと言えるでしょう。
それでもルルドを訪れた多くの人は、病気が治らなくてもみんな喜んで帰ってきて、再び訪れて見たいと思うそうです。
なぜ自分の病気が癒されていないのに、何度も訪れるリピーターが多いのでしょうか。それはきっと病気は治らなくてもルルドを訪れることで、信仰を取り戻し、再び生きる希望を持つことができるからではないかと思います。
世間では、ルルドの奇跡的な病気の癒しだけを強調しますが、本当の奇跡とは、神の力を信じて生きる希望を取り戻す、つまり私たち人間の心が変わることだと思います。
ですからイエスが望む癒しとは、イエスによって再び信仰を取り戻し、私たちの心が癒されていくということではないでしょうか。
主任司祭 西本裕二