今年は3月5日の「灰の水曜日」から四旬節に入ります。四旬節には様々な事柄があります。その意味を少し考えてみましょう。
【四旬節の意味】
まず四旬節とは、どういう意味かご存じでしょうか。復活祭を準備する期間を指します。四旬節は日曜日(主日)を含めると46日間になりますので、四旬は40という意味ですから、主日を除いた40日間のことです。ではなぜ日曜日(主日)を数えないのか。それは主日が「主の日」、つまり復活を記念する「喜びの日」であるからです。そして四旬節は、イエス・キリストの受難と死を黙想し、回心をもって、復活祭を準備します。
【灰の水曜日の意味】
四旬節は「灰の水曜日」に始まります。灰の水曜日は、灰を額に受けて、回心を呼びかけ四旬節がはじまることを意識します。
ミサ中に灰の式が行われますが、灰を受けることで、人は神によって創られた塵にすぎにない存在であることを自覚して、謙遜な心を持つためです。
【大斎・小斎の意味】
また四旬節に「大斎」「小斎」の犠牲のつとめがあります。「斎」は、日本語で「ものいみ」と読み、穢れを忌む、つつしむ、心身を清めるなどといった意味があります。実際カトリック教会の大斎・小斎は、これらの意味も含まれていると言えます。
大斎は、食事を減らすという節制です。断食ではありません。つまり食事を減らすことで慎み、心身を清めるものだからです。
小斎は、肉を食べないという節制ですが、本来の意味は、好きなものを我慢することです。ヨーロッパや南米では肉が主食のようなものですから、それを節制するということが日本にも伝わって来たものですが、欧米型生活に近づいた日本でも肉を節制するのはもちろんのこと、嗜好品や好物を控えることをお勧めします。
大斎、小斎の目的は、第一にイエスの受難と死を黙想するためです。そして第二に貧しい人々の苦しみを共にするためです。ですから食べたいという辛い気持ちやお腹がすいたという痛みを感じることで、イエスの思いや貧しい人々の思いを少しでも共感するためです。
【洗礼の準備期間の意味】
四旬節は、もともとは洗礼の準備期間でした。復活徹夜祭に洗礼を受ける洗礼志願者の準備として、イエスが砂漠で40日間の断食をしたことに倣って、40日間の祈りと節制を行い、洗礼を準備するものとして始められました。次第にすでに洗礼を受けた信者も初心を忘れないために、全教会で行われるようになりました。四旬節に読まれる聖書朗読や祈願などは、特に洗礼志願者に向けられています。そのため復活徹夜祭で洗礼式を行うことが教会の典礼の中で最もふさわしいとされています。
四旬節、私たちは、このような意味をよく理解し、ふさわしい心で準備することで復活祭を喜び迎えるように致しましょう。
参照:「ラウダーテ 四旬節」
主任司祭 西本裕二