10月28日は、シモンとユダの使徒たちを記念します。使徒と言いますと、ペトロのように福音書の中によく登場する人もいれば、かたや、ほとんど登場しない人もいます。シモンとユダの二人は、後者と言えるでしょう。実際、彼らについて書かれている箇所は、最後の晩餐の際、ユダがイエスに質問した以外、名前の記述くらいだからです。またユダは、二人いてイスカリオテのユダがイエスを裏切った者として知らない人はいないくらいに有名なので、タダイと言われたこのユダは、ヨーロッパでは忘れられた聖人と言われています。
ではなぜ、どのような人物かよく分からない人を教会は、典礼の中で大きくお祝いするのか、それは彼らが「使徒」だからです。使徒は直接、イエスによって選ばれた人たちです。使徒とは「遣わされた者」という意味です。イエスの権能を身に受けて、イエスの言葉を語り、イエスのわざを行いました。
使徒たちは、いったん派遣されますと委ねられた使命を喜んで果たしました。試練や困難にあっても神の力と助けを願い、イエスの心を自分の心として生きる、これが彼らの生き方でした。この生き方を私たちも模範として生きるために教会はどの使徒も同じように大事に祝うのです。
教会はこの使徒たちを礎として、その上に建てられました。私たちもそれぞれの場にあって何らかの形で、この使徒たちの使命に与っているのです。私たちもイエスから選ばれてキリスト者となりました。キリスト者は「キリストのもの」という意味です。
ですからキリストのものとして、使徒たちのように試練や困難にあってもその助けと力をつねにキリストに願い、キリストの心を自分の心として、委ねられた使命を喜んで果たしていくように致しましょう。
主任司祭 西本 裕二

