(10)ドメニコ・サヴィオ - ドン・ボスコとの初めての出会い -

聖ドメニコ・サヴィオ 列聖50周年記念特集

助任司祭 土屋 茂明

ドン・ボスコ著「ドメニコ・サヴィオ伝」第1章から第5章までは、ドメニコの幼年時代のことが書かれています。
第6章で、ドン・ボスコとの最初の出会いの模様が語られています。
「これから、お話することは私自身が直接に知っていることですから、いっそう確かなことです。」と。

1852年、ドメニコの両親はムリアルドからモンドニオ村に移り、ドメニコはそこの学校に入り、クリエロ神父について学ぶことになりました。クリエロ神父は「私は20年間も教えてきましたが、ドメニコのように優れた少年は見たことがありません。……あなたの学校にも大勢の少年がいるでしょうが、こんな良い少年は一人もいないでしょう。彼に会ってごらんなさい。きっと、もう一人の聖アロイジオを見出すでしょう。」とドン・ボスコに話すのでした。1854年のことでした。
少年たちを連れて、毎年遠足をし、またロザリオの聖母を祝うためにムリアルドに行くので、ドメニコにその村で会うことになりました。「10月の第1月曜日、爽やかに晴れ上がった日の朝のことでした。」とドン・ボスコは書いています。ドメニコに勉強のこと、これからのことなどを尋ねたドン・ボスコに、少年は「僕のことをどうお思いですか。トリノの学校に連れて行って下さいますか。」と言いました。「君の心の中には、素晴らしい布地があるように思います。」とドン・ボスコは微笑んで答えました。「では、その布地はどんな役に立つんですか。」「神様に差し上げる美しい着物を作るのに役に立ちますよ。」「僕はその布地になります。神父様は仕立屋さんになって下さい。」とドメニコ。ドン・ボスコが「君は体が弱いので、勉強を続けられるか心配です。」と言うと、「きっと神様は、僕に力と健康をくださるでしょう。」と答えました。
「それで、勉強して学問を身につけたら、何になりたいのかね。」「神様がお許しくだされば、僕は司祭になります。」ドン・ボスコは少年の資質を確かめようとして、一冊の本を渡し、「この文章を暗記してごらん。明日、暗記できたか、聞かせて下さい。」その後、彼の父親と話していたドン・ボスコのところに、まもなく戻ってきたドメニコは「神父様、良ければ、もう暗記しましたから聞いて下さい。」と言いました。ドン・ボスコは「では、私もすぐお答えしましょう。君をトリノに連れて行きましょう。今日から君は私の愛する少年たちの一人となるのです。」

ドメニコは若くして神様のもとに召されましたが、彼の結成した「無原罪の聖母マリア信心会」から多くの司祭が出たのでした。


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