羊飼いは「自分の羊の名」を呼んで連れ出す

アイキャッチ用 田中神父の今週の糧

買い物に行ったついでに「ミカンの鉢植え」を買ってきました。値段は1980円です。ミカンが8個ついていました。したがって一個当たり247円50銭ですから、今年は庶民とは違う、一段上の高級なミカンが食べられそうです。園芸の鎌田・百田さんにお願いして大きな鉢に植え替え、腐葉土も足して万全の体制をとりました。しかし、次の朝愉しみに見に行ったら、その中の一個は皮がはちきれて、その間から黄色い中身が顔を出していました。

「犯人は誰か」が最初に頭に浮かびました。上を見るとカラスが入り口の大きな木の上に停まり、かぁ~かぁと人を小馬鹿にするように啼いています。「警察に被害届け」を出して、「あのカラスどもをやっつけなくては!!」との考えも頭に浮かんできました。なにしろ「私の大切なミカン」を狙っているのですから……。後で園芸の人たちに聞いたら、カラスは甘い柿は狙うけれど、未だ酸っぱいミカンには興味を示さないということでした。でも私としては、ある意味で傷ついた分、ミカンがいとおしく思われ、皮の間から見せている「黄色い中身」を触ろうとしている人に、「汚い手で触らないで!!」と言ってしまい、ひんしゅくをかってしまいました。何人かで問題の検討をしたとき、実が成長して皮を割ったのだろうということで、「鷺沼教会ミカン事件」は解決をみました。

私は、果物の中では「ミカン」が好きで、大阪・杉並・町田と転勤した先々で、ミカンの苗木を植えてきました。出張などで、その地に行くたびに必ず自分が植えたミカンに挨拶に行きます。周りの人は忘れてしまっても、ミカンは「私は田中神父の植えた木」だと憶えていてくれると思っているからです。「我田引水」的ですが、聖書の良き牧者のたとえ話の中で「自分の羊の名」とありますが、「私のミカンの木」の体験で、今まで以上によく理解できるようになりました。さて鷺沼教会のミカンの木は、もう七つしか実がついていません。是非みんなで大切に育てていって下さい。試食希望者多数の場合は、抽選で6名様を選出したいと思っているのですが……。

主任司祭 田中次生

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