ドメニコ・サビオとドン・ボスコの最初の出会いの場面が記録されています。ドン・ボスコは毎年秋のブドウの収穫期に、オラトリオの少年たちの中でも、一生懸命に頑張り努力した子供たちを選び、「ご褒美として故郷ベッキに連れて行く習慣」がありました。1854年、秋の遠足の時に、お父さんがドメニコを連れてモンドリオからベッキのドン・ボスコに会いに来たのでした。ドン・ボスコの学校への入学願いのためでした。
ドン・ボスコは、勉強のことや毎日の生活のことをドメニコに尋ね、すぐさま少年の才能を見抜き、トリノに連れて行くことを約束して言いました。
「君はよい布地だと思いますよ」
「この布地はどんな役に立つのでしょうか」
「神様に捧げる良い服が作れるでしょう」
「じゃあ、僕は布地です。神父様は仕立屋になって下さい。僕をトリノにつれて行って、神様のためにきれいな立派な服を作って下さい」
ドン・ボスコの学校に入学したドメニコには、その全てが好きになりました。先生たちは、いつも子供たちのそばにいてくれ、ドン・ボスコの周りにはいつも「喜び」が溢れていました。ドメニコは、その喜びと快活さを愛し、率先してその輪の中に入っていくのでした。また、まだ慣れない新入生の側に行き、寂しさを吹き飛ばし「最初の微笑」を浮かべることが出来るようにと声を掛けたり、面倒を見たりするのでした。
しかし、できるだけ早く聖人になりたいと思い、焦るドメニコにドン・ボスコはいつも言い聞かせたのでした。「特別なことは何も必要ありません。毎日の生活の苦労を、――それがどこから身にふりかかろうと――受けなさい。それをお送りになるのは神様なのですから」と。
良い布地のドメニコは、最初の約束のように、「腕利きの仕立屋ドン・ボスコ」に全てを委ね、神様に捧げられるために「きれいな立派な服」となれるように努力を惜しまないのでした。