アイキャッチ用 田中神父の今週の糧

16)天国の入り口のカギ

天国のカギについて、ドン・ボスコのこんな話が伝わっています。

一本気で、人情に厚い聖ペトロは、「自分は親分イエス様から、天国の門のカギを任されたのだから、命を賭けても天国を守るのだ!!」という気持ちが、顔にまで表れていました。天国に入れそうにない人は、そっと夜中に行くのですが、いつもキチンと聖ペトロが入り口に目を光らせており、ヤッパリダメだと諦めるのでした。もちろん悪魔も「天国のカギ」を狙っていました。

天国のカギを手に入れて閉めてしまえば、あとはこっちのものだと思っていたからです。ある時待ちに待ったチャンスが到来しました。「世紀の怪盗○○」が地獄に落ちて来たからです。早速悪魔たちは相談しこんな計画を立てました。漁師であった聖ペトロを幾人かで「釣りの話」に誘い込み「奇跡の大漁」(ヨハネ12章)について話させれば、一度に153匹も網にかけたあの忘れられない感動に夢中になるだろう。いくら聖ペトロにだってスキができるはずだ。そのスキをついて怪盗○○に「天国のカギ」を盗ませればよい。怪盗○○だって地獄からの無罪放免となれば、生死を賭けて協力してくれるのではないか、というものでした。悪魔たちは「Key project」と計画に名前をつけ、成功したかのようにニンマリと笑い合いました。

いざふたを開けてみると、作戦は寸分の違いなく計画通りに進みました。そして待望の「天国の門のカギ」が悪魔たちの手に渡ってしまったのです。それからの天国の門の前のことは想像することができるでしょう。天国に入れない人たちが、延々と列を作り聖ペトロに対して口々に文句をいうのでした。みなで手分けして雑草の中、ゴミ入れの中等を探したのですが、もちろん出てきませんでした。

その時、ドン・ボスコが天国にやってきました。聖ペトロの説明を聞いたドン・ボスコ、すぐさま手にしていた「ロザリオ」を唱え始めました。なにか困った事が起こると、ほとんど習慣的にしていたからです。1本唱え終わった時、ドン・ボスコはロザリオについている十字架をカギ穴に入れました。天国の門は開かれ、待っていた沢山の人たちは歓喜の中に天国に入ったのでした。

主任司祭 田中次生

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