14)天国=マリア様と一緒にいる場所
1ヶ月ほど前ある家族から病院に呼ばれました。お母さん(M子さん)が癌にかかり、あと1ヶ月と宣告を受けたのだそうです。心の平安が乱されたのでゆっくりと教会の神父様とお話したいということでした。このようなことは私にとっても初めてのことでしたので何をどのように話そうか、それから2、3日、ない知恵を振り絞って考えました。
いよいよ当日になってもうすべてを「マリア様にお任せ」しようと考え、マリア様の大きな写真を準備し、病室の壁に掲示してもらうことにしました。コルベ神父様の言葉の中に「マリア様のご像・ご絵の飾ってあるところにマリア様が来て下さる」とあるのを思い出し、M子さんにもコルベ神父様の言葉としてご紹介しました。ご主人からの電話によると、それからは毎日毎日「マリア様はまだ来て下さらない」と文句を言っているとのことでした。
その話を聞いて私はこう考えました。「マリア様が来て下さらないとすればマリア様がさぼっているのか田中神父が嘘をついたのか二つに一つになってしまう。マリア様は天国にいらっしゃるので実害がないけれど、この世にいる田中神父の信用問題に発展する可能性が大きいので絶対に何とかしないといけない」と。
それから私も一生懸命マリア様にお祈りしました。天国のお母さんとして、苦しんでいるM子さんを何とかして欲しいと思ったからです。
1週間に1度の割合でお伺いするうちにだんだんM子さんの気持ちも落ち着いて洗礼を受けることを希望するようになりました。その決心をする前日にいつものようにご主人が「マリア様はどう?」と聞いたところ、もう話ができないM子さんはこっくりと頷いたそうです。洗礼式の当日私もお聞きしたらこっくりと頷きました。
残念ながら話すことができなくなっていてご主人も私もその時のマリア様の様子を聞きたいと思っても、聞くことはできませんでした。そのM子さんは6月29日早朝帰天されました。
私たちは今M子さんが天国でマリア様にお会いしていることを確信しています。でもやっぱりどんな風にマリア様が現れたのか知りたいんですけど……。