ゆるしの秘跡のために大切なことの一つに「痛悔の行為」があります。罪によって失ったり、傷つけられたりした「神との友好関係」を取り戻したいという望みであり、その中には、犯した罪を心から悔やんで忌み嫌い、罪を犯したことを悲しみ、これからは罪を犯したくないという決意がその中に含まれています。
痛悔が正しく、有効であるためには、次のような特徴がその中にあります。
- 内的な痛悔=気分や感情からではなく、心の底から悔やみと再生への決意。
- 超自然的痛悔=見栄とか人間的な理由からではなく、信仰にもとづく動機。神からの恩恵に動かされている。
- 全ての罪に対しての痛悔=全ての大罪に対しての悔やみの心があること。
- 自主的な痛悔=他からの強制や、人に知られてしまったので仕方なしにではなく、罪を犯した本人が自分で。
痛悔が正しく有効な場合「完全な痛悔」と言われます。「父である神とイエス・キリストを愛する心、その愛に背き、その愛を無視したという理由」から、犯した罪を悔やむ場合です。その時、「ゆるしの秘跡」を受けるという意志があれば、それを受ける前に「神との和解」が成立します。とはいえ、今の自分の痛悔は完全だとは、誰も自信を持って言えませんので、できるだけ早く「ゆるしの秘跡」を受ける必要があります。
地獄の苦痛に対する恐れ、天国を失う恐れ、この世で神からの罰を受ける恐れ、成聖の恩恵を失って損したということからの痛悔は、そのものとして良いことですが、まだ不完全です。そのため「不完全な痛悔」と言われます。しかし「ゆるしの秘跡」を受けるためには充分な心構えです。ゆるしの秘跡を受ける前に大切なことは、罪を神様の愛のために、心から悔やむことです。
主任司祭 田中次生