イタリアで研修をしていた1993年頃、濱尾司教様は出張でローマに来るたびに、在ローマ日本人司祭達を中華や日本食レストランに呼んでおごってくださっていました。
あるとき、レストランから出ると、数名のジンガリ(イタリア語でジプシーの意。現在はロマと言う)女性が寄ってきて、新聞紙をつきつけ「パードレ、パードレ」と言いながら、司教様のポケットを探ろうとするのです。司教様が「VIA、VIA」(あっちいけ、あっちいけ)と追い払っていた姿を思い出します。
その濱尾司教様はやがて故ヨハネ・パウロ教皇様からバチカンの「移住・移動者司牧評議会」の議長に抜擢されました。バチカンには国務省を含む10の省と12の評議会があり、評議会議長は大臣か長官に匹敵する高位聖職者です。濱尾司教様が議長を勤めた「移住・移動者司牧評議会」は難民や出稼ぎ労働者、さらにロマと呼ばれる放浪の民の問題を扱うまさに現代の重要な課題を担当する部署でありました。
最近の新聞やTVの報道によると、フランスのサルコジ政権が国外生まれの少数民族ロマ人の強制送還を実施しており、その措置に対する抗議活動がフランス全土で激しくなっているようです。
これに対して教皇は「人々の間にある当然の違いを受け入れる術を学ぶよう招いていて、それはちょうど、イエスがすべての民族と言葉の人々を一致させるために来られたことに似ています」と指摘され、バチカン放送によると、移住・移動者司牧評議会事務局長のアゴスティーノ・マルケット大司教は次のように語りました。
「“ジプシー問題”は欧州にとって深刻な課題です。欧州最大の少数民族にかかわることだからです。ロマ人は少なくとも1200万人いて、そのうちの500万人は子供で学校へ通う必要があるのです。フランスは自ら定めた法律に従っていません」。
今日は世界難民移住移動者の日です。祈りと献金を通して、大切な活動を支援していきたいものです。