○「こころなき身にもあわれは知られけり 鴫(しぎ)立つ沢の秋の夕暮れ」(西行法師)
高校時代、古文の先生が新古今和歌集の三夕の歌の一つ、西行の上記歌を次のように解説してくださった。
“出家した身である自分のことを、人は人生の機微やものの趣などを解しない人間と思っているだろう。しかし、この秋の夕暮れのしみじみとした情趣は、そんな自分にも十分に感じられることよ”。
高校2年の小神学生だった私にとって、その説明は、妙に印象に残っている。

○「文化の日」の休日、秩父宮ラグビー場に大学ラグビー対抗戦グループの試合観戦に行った。明治対慶応、早稲田対帝京の二試合。お目当ては、明治のスクラム・ハーフ秦一平選手だった。しかし、前節の試合で負傷したのだろうか、出場してなくて残念だった。彼は身長152センチという小兵ながら、大学1年生のときから名門明治ラグビー部のレギュラーの座をつかんできた。巨漢ぞろいのフォワード陣と並ぶとまるで大人と子供のようだが、スクラムから出たボールをたくみにバックスに回す俊敏さはお見事、まるで牛若丸だ。
超小柄でも、重要なポジションをこなす彼の働きぶりは、勇気と励ましを与えてくれる。

○芸術の秋。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、10月26日~12月4日まで、六本木のサントリー美術館で『南蛮文化の光と影』展が開催されています。
重要文化財の聖フランシスコ・ザビエル図像ほか、ローマのジェズ教会の大殉教図、隠れキリシタンの遺物など、キリシタン時代の香りを堪能できる展示内容です。とくに、イエズス会関連の工芸品や、唯一現存する南蛮寺の鐘(IHSの紋章があります)は一見の価値があります。よろしかったら、いらしてみて下さい。

主任司祭 松尾 貢
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