ローマに滞在していた1992年は、コロンブスが1492年に新大陸に上陸した500周年ということで、記念行事が盛んに行われていました。
日本ではいまだに世界史の教科書などでも、“新大陸発見”という言葉が使われていますが、ヨーロッパでは違っていました。イタリア語では〈INCONTRO〉、英語では〈ENCOUNTER〉という単語が用いられていました。その背景には、次のような認識の変化があったのです。すなわち、“発見”はヨーロッパ人主体の発想であって、南北アメリカのインディオ達のように、もともと住んでいる者にしてみれば、新大陸発見などとは失礼極まりないというわけです。そこで、発見の代わりに出会いとか遭遇といった単語を意識して使用するように変わってきたわけです。
今年のバザーのモットーは「新しい出会いと交わり」です。この場合の“出会い”にも上記の発想法が必要になってくると思います。第二バチカン公会議以前は、私たち洗礼を受けた信徒は選ばれた者、その選ばれたものが集う教会という意識が強すぎました。第二バチカン公会議はその姿勢を改めたわけです。
第二バチカン公会議の根本姿勢として、次の6つが挙げられています。
- 対話の精神
- 多様性
- 聖と俗すべてが宗教的
- 全員参加の教会
- キリスト中心、みことば中心
- 中央集権から生きた体へ
また、もっとも重要な公文書である教会憲章は、教会を交わりと一致の秘跡ととらえています。
このように見てきますと、鷺沼教会は川崎北部と横浜港北部に住んでおられる皆のためのものであるということができます。その意味で、信仰年開始月に実施される鷺沼教会バザーの標語は正に時宜を得たものといえるのではないでしょうか。
和顔(えがお)とお迎えのこころで、バザー参加者同士、また初めて教会に来られる方にも接したいものです。
主任司祭 松尾 貢