チヴィタヴェッチアの26聖人教会

アイキャッチ用 松尾神父の今週の糧

今週2月5日は日本26聖人の記念日です。日本26聖人が列聖されたのは、1862年幕末のときでした。ですから昨年は列聖150周年にあたっていました。実は、日本以外では、2月5日はローマ時代の殉教者聖女アガタの記念日であって、日本26聖人は2月6日が記念日になっているのです。

その2月6日、ローマから北西にある港町チビタヴェキアにある日本聖殉教者教会(Chiesa Dei Santi Martiri Giapponesi)に駐バチカン日本大使館の職員を含め、多くの方々が集まってミサが行われる習慣があります。

この教会には長谷川路可が描いた26聖人の大きな壁画が描かれています。路可がこの教会の壁画の制作にあたったのは、1951年(昭和26年)から57年(昭和32年)にかけてで、路可50代のことでした。

漆喰を塗り、その下壁が乾かないうちに画を描き込んでいくという作業を不安定な足場や梯子の上で一人きりで作業をするには大変だったことに違いありません。氏はこの六年間、教会傍のフランシスコ会修道院に滞在し、修道者と共にミサや教会の祈りにともにあずかり、食事をしながら、制作活動に励みました。家族あての手紙には「描くことが祈りであるような」毎日の生活のことが記されていたそうです。

知人宛の手紙には次のように記してあります。

「僕はこの仕事を日本二十六聖人に捧げるのであって、絵筆による神様の光栄の賛美であり、この仕事の毀誉褒貶を意に介していません。勿論、日本人が教会の御堂を飾るなんてことは空前のことであり、しかもルネッサンス以来、壁画の国と称せられるイタリアにおいて、伝統の材料を駆使するのですから容易ならざることは言うまでもありません。それだけに責任に重大さは早くより感じています。しかし僕はどこまでもこれをやり抜いて帰ります」と決意を述べています。

2月5日、12歳のルドビコ茨木や15歳のトマス小崎ら少年の信仰を思い出しながら、一日を過ごしてまいりましょう。

主任司祭 松尾 貢

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