山野内アンヘル師が先日の銀祝のお祝いの際、地下ホールで披露して下さった新教皇フランシスコについての話が印象的でした。
コンクラーベが終わってまもなく、ブエノス・アイレスのある新聞配達屋さんに新教皇から電話があったそうです。「ブエノス・アイレスに戻れなくなったので、新聞購読を中止させて下さい」という内容だったそうです。新教皇の人柄をよく表すエピソードだと思います。
他にも、次のような新教皇に関する話があります。
- ブエノス・アイレスの大司教時代、お抱えの運転手や車をもたず、公共交通機関を利用しておられた。
- コンクラーベが終わっての新教皇の第一声は「皆さん、ボナセーラ(今晩は)」だった。
- 歴代教皇が身に付けた「金の十字架」や「赤い靴」は避け、鉄製十字架と黒い靴で通している。
- コンクラーベの翌日、コンクラーベ直前まで滞在した宿舎を訪れ、自分で代金を支払われた。
- バチカン宮殿内の教皇用公邸ではなく、バチカンで働く数十名の司教や司祭の定宿であるサンタマルタの家を住まいとしている。
以上のようなエピソードを聞く時、新教皇がフランシスコの名前をつけられた訳が分かってくるような感じがします。
聖フランシスコの言葉に次のようなものがあります。
「人は物を持てば持つほど、権力を得れば得るほど、他者を自分のために使い利用する人間となる」。鋭い指摘ではないでしょうか。
聖フランシスコは清貧に生きることによって、全ての人、人間だけではなく動物、太陽や月に至るまで、兄弟・姉妹として生きることができることを 実証した聖人でした。新教皇の生き方はまさに聖フランシスコの兄弟性 fraternitas と、“教皇は下僕たちの下僕”といった大聖グレゴリオ教皇の生き様を実践する方だと思います。
主任司祭 松尾 貢