聖フランシスコ・サレジオとお母さん

アイキャッチ用 松尾神父の今週の糧

「サヴォアのお母さんは私のためならどんなことでもしてくれた。まして、天のお母様マリア様が私のために配慮し心を砕いて対処して下さらないはずはない。マリア様に全てをお委ねしよう」。17世紀初頭に活躍した柔和の聖人、聖フランシスコ・サレジオの言葉です。

サレジオが15歳になったとき、父は彼を故郷のサヴォアを離れ、パリのイエズス会クレルモン校に進学するように取り計らいます。父から同伴させられたサヴォア城チャップレンのディアジェ師やイエズス会司祭の指導の下、サレジオは宮廷人としてふさわしい教養と学問を身につけるよう努め、優秀な成績で卒業します。そして当代きっての名門ソロボンヌ大学に入学します。しかし、大学はこれまでの敬虔な雰囲気やカトリックの正統信仰を基とする学び舎とは異なり、何でもありの誘惑の多い場所でありました。特に、救霊予定説を奉じるカルヴァン主義の強い影響下にありました。

大学に入ってこれまで体験したことのない様々な誘惑に悩んでいた彼は「いつか自分は神から離れて地獄にいくのではないか」と恐れるようになり、心身ともにやつれてしまいました。

そんなある日のことでした。聖エティエンヌ・デ・グレ教会の前を通りかかったとき、ふと教会のドアを開けて、中に入りました。そして黒い聖母の祭壇の前に跪いて、祈り、聖母に自分の心を打ち明けました。すると突然、上記のような考えが浮かび、心の安らぎを感じたのです。“きっと天の母マリア様がよくして下さる。何も恐れることはない。神様はどこでもいつでも愛していて下さる。母マリアが救いを取り次いで下さる”。

5月は聖母月です。また今日第2日曜日は母の日に当たります。母親の日頃の無償の働きに感謝の気持ちを表しながら、すべての人の母である聖母マリア様への賛美と感謝を捧げましょう。

「いつ、いかなる場合にもこの慈愛深き聖母を呼び、母としての愛情をより頼み、その御徳に倣い、心からの孝行を尽くしましょう」(聖フランシスコ・サレジオ著『信心生活入門』より)

主任司祭 松尾 貢

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