6月の聖人の中にパドヴァの聖アントニオがいます。失せ物(者)探しの助け手として知られ、聖人に対する崇敬は欧州や中南米でとても盛んです。パドヴァやリスボンの保護聖人、縁結びや恋愛(今風にいえば婚活)の守護聖人でもあります。
パドヴァのアントニオは1195年頃リスボンに生まれ、アウグスティヌス修道会に入会します。1220年、モロッコで殉教した5名のフランシスコ会宣教師の聖遺物がコインブラで顕示された際、彼の心の中に「宣教師としてモロッコに行きたい」という望みが湧きあがります。彼はフランシスコ会に移り、宣教師として念願のモロッコに向けて出発しました。しかし、熱病を患いイタリアに戻ることを余儀なくされました。1121年、アシジの総会で聖フランシスコと会い、その後北イタリアのフォルリ近郊の修道院に送られました。ある時、司祭叙階式で説教の担当者に不都合があり、急に説教を頼まれた彼は豊かな学識と雄弁の才能があることを示しました。やがて、説教家、フランシスコ会最初の神学教師となります。
聖フランシスコは彼に手紙を送ります。
「あなたが兄弟たちに神学を教えるのは、私にとって喜ばしいことです」そして神学教育に必要な図書館創立を許したあと、「私たちが貧しい兄弟であることを決して忘れないように」と諭します。
念願であった<殉教者になりたい>という意思を封印して表明せず、自分の仕事や行く末を長上に任せた、この意志の放棄こそ真の殉教だと指摘されています。
先日、新聞のチラシに「地域で和っしょい!」というレストア川崎地域包括支援センターだよりが入っていました。そのちらしのコラムに“知識を活かす小さな学び舎(鷺沼)”として当教会所属の坂口昂吉氏のことが紹介されていました。
「今年ローマ法王がフランシスコに代わられたということで、今回はフランシスコ会の創設についてのお話を聞かせていただきました。毎月第3金曜日10時半より、元大学名誉教授のご自宅にて行っています。参加費は無料となっていますので、興味のある方は是非ご参加下さい」。
フランシスカン霊性の大家である先生に、魅力あるフランシスカンについてあれこれ質問してみたいものです。