アイキャッチ用 松尾神父の今週の糧

以前、鷺沼教会の助任をなさっていた土屋神父様の霊名は聖タルチジオ(ラテン語読みでは聖タルシキウス)でした。前教皇ベネディクト16世が数年前、欧州各国から聖ペトロ広場に集まった国際侍者協会主催の青少年巡礼団(侍者たち)に向かって話された「侍者の保護者聖タルチジオ」についての講話をご紹介しましょう。

聖タルチジオは3世紀に生きた人です。伝承によれば、少年タルチジオはローマのカリストのカタコンベに規則正しく通い、キリスト者としての務めを忠実に果たしていました。当時、皇帝ウァレリアヌス(在位252-260)がキリスト者を迫害していました。キリスト者は個人の家やカタコンベにひそかに集まって、神の言葉を聞き、互いに祈り、ミサを捧げていました。囚人や病人に聖体を運ぶことはますます危険でした。
ある日、司祭が尋ねました。「聖体を望む兄弟姉妹に聖体を運んでくれる者はいませんか」。するとタルチジオが立ち上がって言いました。「私を派遣して下さい」。司祭は尊い命のパンを委ねて言いました。「タルチジオよ。天上の宝があなたの弱々しい手に託されていることを思いなさい。人の多い通りを避けなさい。神聖なものを犬に与えてはならないことを忘れないように」。
道の途中で何人かの友人と出会いました。彼らは一緒に遊びに行かないかと彼を誘いました。友人たちは異教徒でした。タルチジオが誘いを断ると、不審に思った友人たちはしつこく誘いました。そのとき彼らはタルチジオが何かを胸に隠していることに気づきました。友人たちはそれを力ずくで奪おうとして足で蹴り、石を投げつけましたが、タルチジオは屈しませんでした。
その時密かにキリスト者となっていたクアドラトゥスという近衛兵が瀕死のタルチジオを司祭のもとに運びました。タルチジオは息絶えましたが、聖体を入れた小さな亜麻布は胸に抱えたままでした。

今年も聖体授与の奉仕者研修会が開かれますが、公式の奉仕者にならなくても、お家の高齢の方、病者の方のために、身内であれば誰でも主任司祭から臨時の聖体奉仕者に任命されることができます。どうぞ遠慮なさらず、ご聖体をお家に運ぶ21世紀のタルチジオ役を引き受けて下さいませんか。

主任司祭 松尾 貢

おすすめ記事