日本キリスト教団の牧師さんで、聖書神学校で礼拝学を教えておられた今橋朗先生が先日帰天なさった。臨終の際には後任牧師に頼んで、自らが訳されたジョン・キーブルの朝の祈りを朗読してもらいながら神様のもとに旅立たれたという。

今橋牧師さんが敬愛してやまなかったジョン・キーブル。キーブルは英国聖公会の牧師としてオックスフォード運動で中核的な役割を果たした。彼は、19世紀の英国を代表する思想家ヘンリー・ニューマンの盟友として、また詩人としても知られている。詩人キーブルの詩の一部をご紹介したい。

燃えるような太陽がまだ姿を見せない東雲(しののめ)を
染め上げていく朝焼けは
見えざる御手が静かに触れると
昇り来る陽のための軌道を押し広げていく。

一日の始めを告げるそよ風は
喜ばしくも吹き起こり
楽しげに吹き渡るそよぎの翼が
木々の繁みを揺り覚ます。

―中略―

日毎にささげる朝の祈りは
新たな恵みでわたしを包む。
新たな咎をも赦してくださる新たな憐れみ、
新たな信仰、御国を慕う新たな希望。

きょう、いかなる営みが待っていようと
すべての中に御旨を崇めることができるなら
神は備えていてくださるに違いない
限りなく貴い新たな宝を見出すことを。

―後略―

カトリックの典礼や暦にも造詣が深かった今橋朗先生のご冥福を祈りつつ。

主任司祭 松尾 貢
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