ドイツ語圏の司教団が作成した『YOUCAT』(カトリック教会の青年向けカテキズム)は分かりやすい問答形式をとっています。その245番は下記のとおりです。

245 病者の秘跡には、どんな働きがあるの?
病者の秘跡は、病者に慰め、平安、力を与え、危険な状態や苦しみのうちにある病気の人をキリストと深く結びつける。主はご自分のからだをもってわたしたちの恐れを体験され、わたしたちの痛みを担っておられるからだよ。病者の塗油で身体的ないやしを受ける人もいる。神が誰かを天にお召しになろうというときも、神は病者の塗油を通して、その人が最後の旅路で受けるあらゆる身体的、精神的な戦いのための力を与えてくださるんだ。病者の塗油には、どんな場合でも、罪のゆるしの効果がある。

病者の塗油の秘跡の儀式の本質部分は、病者の額と手に聖なる油を塗ることと、祈りを唱えることからなるのですが、この時用いられる油の祝福の祈りの言葉は秘跡の内容をよく表す美しい祈りです。

「神である父よ、あなたはひとり子キリストを通して病人を慰め、力づけてくださいます。わたしたちの祈りを聞き入れ、からだを強めるために、木の実からとれたこの油の上に、慰め主である聖霊をおつかわしください。この油を注がれるすべての人があなたの祝福を受けて、体と心の健康を取り戻し、すべての病気と苦しみから解放されますように。全能の神である父よ、あなたによって祝福されたこの尊い油がわたしたちの助けとなりますように」。

10月26日日曜日の夕方、Mさんの病者の塗油の秘跡を行いました。嚥下することができないMさんは筆談で、「ホスティアをいただくことができませんが、聖血をいただけませんか」と望まれました。なるほど、と思いました。今まで考えたこともなかったアイデアでした。二日後の28日火曜日、聖血をもってM宅を訪れました。聖血をスプーンに1滴、2滴たらして、Mさんの口の中に注ぎました。“旅路の糧”である聖血に力づけられて、神さまのもとに戻られたMさんのお顔は輝いていました。合掌。

主任司祭 松尾 貢
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