12日に中野島カリタス学園で開催された横浜教区一粒会大会には長崎教区から古巣師を招待し、講演をしていただきました。講演の題は「小教区は召命の畑――司祭を生み出す豊かな畑となるために―」でした。

現在、日本カトリック神学院には16教区、38名の神学生が東京と福岡キャンパスで養成されていますが、横浜教区は7名と一番多く、長崎教区にはかつての召命王国の面影はありません。一粒会大会に1300人もの信徒が集まった横浜教区の熱意に古巣師は大いに感心しておられました。横浜教区の二人の助祭がミサのときに助祭奉仕をしていましたが、その一人牧山助祭のルーツは佐賀県呼子港の沖合にある馬渡(まだら)島です。ここの信徒の苗字は牧山姓が多く、日本カトリック神学院の院長・牧山師もルーツはこの島です。そして、佐賀県の馬渡島の信徒はもとはといえば長崎県佐世保市の沖合にある黒島から移住してきた人たちです。更に、黒島の信徒はド・ロ師で有名な出津(外海)地方から移住してきました。外海→黒島→馬渡島という、生活と信仰のための繋がりのバトンを渡し、繋いできた先人たちの思いの深さが見えてきます。

かつて、信徒の数の多さと長い歴史と宗教的伝統の力で、多くの召命を輩出してきた長崎教区。それが人口の減少と高齢化によって急減少している現在、都会に出てきた長崎をはじめ九州をルーツに持つ信徒と、都会で受洗した信徒が一緒になって、信仰のバトンを繋ぎ、召命を育む共同体を形成していく必要があります。外国や長崎で生まれた司祭が降って来るのを待つ姿勢からの転換、これが今、求められています。

古巣師は講演の中で次のような右近の姿を示しました。

“オルガンティーノは神学校を開きたく思い、召命の大切さを説いたところ、高槻の高位武士の子息8人がセミナリオへの入学を決意した。ところが、親たちは子供の突然の行動に驚き、オルガンティーノに猛烈な抗議を行った。困り果てたオルガンティーノは右近に調停を頼みます。右近はすぐに親たちを集め、家臣の中から将来神と教会に仕える最初の司祭志願者が誕生したことへのお祝いの言葉をかけ、その上で毎年米百俵をセミナリオに寄進すると言って説得し、親たちも納得した”と。

右近に倣って、私たちも司祭召命のために自分で出来る祈りと働きを続けていきたいものです。

主任司祭 松尾 貢
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