明日は体育の日。運動会でのおにぎりのおいしさは皆さんそれぞれの思い出の中にあるのではないでしょうか。おにぎりというと、今年2月初めに94歳で帰天なさった佐藤初女さんのことを思い出します。
青森のカトリック学校を卒業なさった佐藤さんは岩木山の麓、標高400メートルの地に「森のイスキア」を主宰していました。
心を病んだ人がやってくる。
体を病んだ人がやってくる。
重いのやら、軽いのやら、荷物を背負ってやってくる。
そして、気が付けば、自分で荷物を降ろして帰っていく。
「森のイスキア」で初女さんがしたことはごく平凡なこと。料理を作り、一緒に食べる。そして話したくなった人の傍らでじっとその人の話に耳を傾ける。言ってしまえばただそれだけのこと。しかし、その食事は不思議な力を持っていました。「調理」と「食事」という目に見えるものを通して、見えないものの中に初女さんは旅をしていたと言えます。
初女さんの言葉を引用してみましょう。
“私たち人間は、地球上のいろいろな「いのち」を食べて生きている。食べるものすべてが生き物である。「いのち」が「いのち」を食べている。食材を、ただ「もの」だと思うのと、「いのち」として捉えるのでは、調理の仕方が変わってくるんです。ものだと思えば、ただ煮ればいい、焼けばいいって感じですが、いのちだと思えば、これはどうすれば生かせるだろうか、ということになるんです。
“人生を振り返ってみると「出会い」なくして、何も始まらないと思います。出会いから出会い、それがまた次の出会いに、というふうにきたので、その中の発見と気付きが大事ですね。出会いの中で、いろんなことを私は教えられてきました。「おにぎりがおいしいのは、誰に教わったのですか?」って聞かれますけど、それは何人もの人に教わって気付いたことなんです。そんな積み重ねがあって、今は自分のものとして伝えられるようになりました。”
バザーの準備の作業の中で味わいたい言葉ではないでしょうか。
主任司祭 松尾 貢