“祈る手”といえば、アルブレヒト・デューラーの「祈る手」(1508年)がよく知られています。デューラーのこの絵のモデルになったのは友人ハンスの手だそうです。貧しい二人は、当初は一人が働いてもう一人が絵の勉強をする約束でした。先に勉強したデューラーは、結果ずっと働いて支えてくれたハンスの、しかも祈ってくれていた「祈る手」をどうしても描きたかったのです。

今日は聖母祭で、また母の日です。この機会に家庭での祈りを振り返ってみましょう。サレジオ学院チャップレンである榎本師は、入学してくる信者の子に「家で食事の祈りや、寝る前の祈りをしている?」と毎年質問しているそうですが、祈る家庭が少ないと嘆いています。

先日、鷺沼教会の若いお母さんからこんな話を伺いました。2年前にお母さんと幼稚園の娘さんが受洗し、お家で食前の祈りを始めたところ、1年ほどたって、区立小学校の保護者面談の際、「お宅の息子さん、給食の時、十字を切っていますよ」と担任の先生から言われたそうです。お母さんと妹の食前の祈りをしている姿が、未受洗のお兄さんに影響を与えていたわけです。

ところで、皆さんのご家庭ではどんな食前の祈りを唱えておいででしょうか。中央協議会から出ている祈りの本にでているオーソドックスな食前の祈りは次の通りです。

「父よ、あなたのいつくしみに感謝してこの食事をいただきます。ここに用意されたものを祝福し、わたしたちの心と体を支える糧としてください。わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。」

ある家庭では、サレジオ学院幼稚園の食前の祈りを、娘さんが大学を卒業し就職した今でも、家族で一緒に祈っているそうです。

「神様、美味しいお食事をありがとうございます。心も身体も強くしてください。」

もし、食前の祈りをする習慣がないご家庭がありましたら、デューラーの「祈る手」のように合掌して、今晩からサレジオ学院幼稚園の食前の祈りを唱えてみませんか、

主任司祭 松尾 貢

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