先日の終戦記念日の8月15日、平和旬間が終わりました。この日は、教会では他に「聖母の被昇天の祭日」でもありました。戦争に関わる同じ日に、聖母マリアを記念するのは何か不思議を感じます。

ご存じかと思いますが、日本の戦争に関わる出来事と聖母マリアの記念日が重なっているのは他にもあります。真珠湾攻撃による太平洋戦争の開戦日は、
12月8日の「無原罪の聖母マリアの祭日」です。そして太平洋戦争後、連合軍による占領が終わり、日本の主権が回復したサンフランシスコ平和条約が9月8日の「聖マリアの誕生の祝日」になっています。

もちろん一般的には偶然として捉えるかと思います。しかし信仰の観点で捉えるならば、私は神の計らいであったように思います。それは軍国主義に進み、他国を侵略して思い上がった日本に対して、聖母マリアの心で平和を考えさせるためであったのではないでしょうか。
太平洋戦争の開戦日は、無原罪の聖母マリアを記念しますが、戦争を始めたのは人間です。でも誰よりも争いや人の命が脅かされるのを見て、心を痛めるのは聖母マリアです。だからこそ、母の心をもって、常に人類の平和を願っているのです。

長崎に赴任していた2年半前、カトリック浦上教会を訪れたときに「被爆のマリア像」を見ましたが、とても印象に残るものでした。戦争の悲惨さや原爆で死んだ人の悲しみや被爆した人の苦しみを担っているかのような黒く焦げたマリア像は、今でも私たちに平和を訴え、祈り続けているでしょう。

このような悲惨で愚かな行為を人類が二度と繰り返さず、聖母マリアの心を悲しませないためにも、教会は核廃絶を訴え続け、私たち信者は平和のために祈り続けて行かなければならないのではないでしょうか。

参照:
『カトリック中央協議会WEB(日本と聖母マリアについて)』 https://www.cbcj.catholic.jp/faq/maria/
『霊性センターせせらぎ ― 今日をささげる(2010年8月の意向)』 https://seseragi-sc.jp/sasage/1008.htm

主任司祭 西本 裕二

聖母被昇天―聖ロクス、聖セバスチアノ、聖カロロ・ボロメオと共に(マティアス・ストーム画)
聖母被昇天―聖ロクス、聖セバスチアノ、聖カロロ・ボロメオと共に(マティアス・ストーム画)
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