今日、都筑教会では「成人の祝福」が行われます。一般的に成人式は、大人の仲間入りを果たした若者の門出を祝うものです。
では大人とは、何でしょうか。一つには、自分の言葉(発言)に責任を持てる人だと思います。
自分が発した言葉が相手にどれほど大きな影響を与えるかを考えずに好き勝手なことを言って人を傷つけ、苦しめる人がいます。そのような人は大人としての自覚が足りないでしょう。
人から最も信頼を無くすのは、嘘をつく、虚言を弄することです。嘘をついてばかりいる人の発言には説得力がないばかりか、信頼が持てません。そのため私たち大人は、できるだけ嘘をつかないように努力しなければならないと思います。
大人は子供がつくような嘘ではなく、自己保身や相手を騙し陥れたりするような嘘で、昨今、政治家が賄賂や裏金を認めず、ひたすら「知らない」と押し通したり、企業家が顧客を騙して商品を販売したりしている狡猾な嘘です。
残念ながら、大人が平気でうそをつくのは、自分の言葉に責任を持っていないからです。そのような人は、本当の意味で大人とは言えないでしょう。
本当の大人とは嘘がなく、誠実で裏表のない生き方をしている人です。もちろん嘘はすべて悪いとは限りません。人を助けるために嘘をつくこともあるからです。しかしそのような生き方は誠実です。
ではどうしたら誠実に生きられるのか。今、メジャーリーグの大谷翔平選手が世界から大きな注目を集めています。それは彼の飾らない言葉、誠実な対応にあると思います。そしてそれは彼の発言からにじみ出ています。つまり誠実さは、その人の言葉に自然と表れてくるものだということです。そして彼の発言には、説得力を感じます。それは彼自身それを実行して生きているからではないでしょうか。つまり大谷翔平選手は自分の言葉に責任を持っているということです。
もちろん人間である限り、嘘をついたことがない人はいないでしょう。しかし大人になって嘘で人を傷つけ、苦しませてはいけないと思います。ですから、私たちキリスト者は、イエスのように〝言葉にも態度にも嘘のない大人の生き方で、威厳をもって堂々と語っていかなければならない″のではないでしょうか。
主任司祭 西本 裕二