「忍耐強い愛情」が人の心を動かす

ドン・ボスコ(カトリック鷺沼教会ステンドグラス)

1月31日は、聖ヨハネ・ボスコを記念します。ヨハネ・ボスコの時代は、産業革命がもたらした結果として、イタリア国内には仕事にも就けず、何をすることもなく、悪事を働く若者や貧しさのために助けを必要とする若者たちが大勢いました。そんな中で、ヨハネ・ボスコは柔和で愛情深い聖フランシスコ・サレジオを尊敬し、模範として選び、その名から「サレジオ会」という貧しい若者のために働く教育修道会を考え出しました。そしてそこで働く最初の会員の多くは、ヨハネ・ボスコ自身が育て上げ、志を同じくする教え子たちでした。

このように貧しく助けを必要とする人々のために働く修道会として、マザー・テレサが創立した「神の愛の宣教者会」がありますが、この会もサレジオ会同様、彼女の教え子たちが集まって始まったものです。
ヨハネ・ボスコもマザー・テレサも自身が教育者として、協力者や後継者を育て、自分の奉仕活動を繋げていった点では似ています。このような継承は、教会においても必要なことだと思います。
それは都筑教会も協力者や後継者を育て、次の世代に活動をつなげていかなければならないからです。

では、そのためにどうしたら良いのでしょうか。ヨハネ・ボスコは、「君たちと一緒にいること、これが私の人生だ」と言っていたように、彼は家族のように若者たちと共に生活し、生きていました。
現代、家族の中には親の働く姿を見て、家業を継承していく子供もいます。それと同じように私たちはみんながヨハネ・ボスコのような教育者ではありませんが、教会で一生懸命に働き、奉仕する姿を子供たちに見せていかなければならないでしょう。
またヨハネ・ボスコは、サレジオ会員と同じ精神で若者のために共に働く仲間を“共働者(ミッション・パートナー)”と考え、そのような人たちを巻き込むことでサレジオ会の活動は、より発展し世界に広がっていきました。

都筑教会も先ず、同じ奉仕の精神で働く信者を巻き込んで一緒に若者や子供たちを育て、教会活動を繋げていかなければならないでしょう。
そのために必要なことは、ヨハネ・ボスコが手本とした聖フランシスコ・サレジオのように忍耐をもって、愛情深く育てることではないでしょうか。
私たちは現代、子供が少ないから仕方が無いとか、教会に関心がないから若者が来ないとか言い訳ばかりして、次の世界につなげていくことを簡単に諦めてしまっています。しかしヨハネ・ボスコがどれだけの時間と労力をかけ、そして愛と情熱を注ぎ、関わっていたかを考えなければならないでしょう。このような“忍耐強い愛情”が人の心を動かすのではないでしょうか。

主任司祭 西本裕二


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