1928年から始められ、100年近く続いた『カトリック生活』が惜しまれつつも今年3月に休刊となりました。またこの3月に紙面で菊地大司教が『カトリック新聞』が来年2025年3月をもって休刊となることを発表されました。そしてまた2015年には60年続いた女子パウロ会発行の月刊誌『あけぼの』もすでに休刊となっています。このように近年、カトリック系の刊行物の多くが終了することになります。
『カトリック生活』編集長の関谷神父は、その理由として「メディアを取りまく環境が激変する今日、紙媒体の雑誌を発行し続けることは困難であると修道会として判断せざるを得ませんでした」と説明していました。
つまり近年、紙媒体(新聞、雑誌、書籍)の衰退状況は、カトリック教会に留まらず、一般の新聞や書籍などもこの20年で40%以上も需要が減少していることから顕著です。
話は少し変わりますが、先月、『カトリック生活』が休刊になることを都筑教会でお知らせした後、1階ホールで信者の方々とお茶を飲みながら閑談している
時、一人の婦人が「神父様、カトリック生活が終わってしまうのは残念ですね」と私に言ってきました。そこで失礼かと思いつつ、私はその婦人に尋ねました。「○○さんはカトリック生活を定期購読していましたか」と、するとその方は申し訳なさそうに「私は教会に来たときに買っていましたが、定期購読していませんでした」と正直に答えてくださったのです。
このように実情として「残念」と思いながらも、多くの信者の方は定期購読していなかったということです。ですから、もっと広く購読されていれば、もしかしたら『カトリック生活』は休刊にならなかったかもしれません。結果論になりますが、これは『カトリック新聞』もしかり、『あけぼの』もしかりです。
私が一番心配なのは〝紙媒体離れ″です。それは近年、「聖書」を読む信者も減ってきているように思うからです。「聖書」はキリスト信者の生きる糧であり、力です。信仰生活にかかせないものです。これまで「聖書」は世界で一番読まれている書物と言われてきました。とはいえ、キリスト信者が使わなければ「聖書」は価値を失ってしまうかもしれません。
そのためパソコンやインターネットなどが普及し、デジタル化が進む現代にあっても、私たちキリスト信者は、紙媒体としての「聖書」を大切にし、大いに活用していかなければならないのではないでしょうか。
主任司祭 西本 裕二