新緑の中のハートとキリストと子どもたち

現代は時間に追われ、なかなかゆっくりした時間を過ごすことができません。そして厳しい競争社会の中で、多くの人が職場や家庭において、悩みや問題を抱え、ストレスにあえいでいます。そうした現代人にとって、ストレスを解消するために、運動や食事、入浴や睡眠など様々な「癒し」を必要としています。

先日、某テレビ局のバラエティー番組で「PTSDを抱えた元軍人のために、刑務所の凶悪犯が介助犬を育てる」といった内容の映像を取り上げていました。
アメリカのニューヨーク州にある刑務所。ここは凶悪事件の犯人が多く収容されている場所です。ある日、受刑者に子犬が預けられました。子犬は2年間、受刑者の手で育てられ、アメリカで深刻な問題になっている戦争のトラウマを抱えた元軍人の介助犬として訓練されます。そしてその介助犬によって、トラウマを抱えた元軍人だけでなく、訓練し、育て上げた受刑者の心も癒されていくというものです。
この刑務所で訓練に関わるほとんどの受刑者は、心穏やかになり、優しさを取り戻します。ある受刑者は、「俺は、この犬のおかげで変わったよ」と素直に告白します。つまりこのプログラムに関わる受刑者の多くは、犬とのふれあいによって、「心が癒された」ということです。

キリスト者も癒しを求めて教会に来ています。でも「癒し」は、何よりも〝神と出会う″ことです。聖書の中で、イエスによって病人や悪霊に取り憑かれた多くの人たちが癒されました。それはイエスとの出会いによって、信仰を見いだしたからです。これこそが本当の癒やしです。
私たちは自分が何のために教会に来るのかを考えなければならないと思います。それは神と出会い、心が癒されるためです。そのためには、先ほどの受刑者たちが介助犬とふれあいを深めることで癒されていったように、私たちも神と交わりを深めていくことで癒されていかなければならないのではないでしょうか。

主任司祭 西本 裕二


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