先月、横浜教区の新年度の司祭人事が発表されました。ベテラン司祭、中堅司祭、新司祭など、今年度は多くの司祭の異動があり、それぞれの任地に派遣されて行きます。ある司祭は、小さな小教区から大きな小教区へ派遣され、またある司祭は、小教区の主任司祭と隣接する幼稚園の園長としても派遣され、そしてまたある司祭は、小教区の助任司祭、あるいは協力司祭として派遣されていきます。私自身もそうであったように、新しい任地に派遣されていく司祭の皆さんは、それぞれの思いや決意をもって着任されるかと思います。
この「派遣」ということを考えてみますと、これは私たち司祭や修道者だけのものではありません。ご存じのようにミサの最後に信徒の皆さんは、司祭の祝福の後に「行きましょう」という言葉で派遣されていきます。つまりミサはそれで完結するのではなく、すべてのキリスト信者は、ミサをとおして、ご聖体を受けて、キリストに結ばれ、それを力として、それぞれの生活の場である家庭や職場に派遣されて、その一週間、キリストを伝えるために頑張るためです。
でもきっと多くの方は、今週もミサに与ったから、それで使命を果たしたと考えがちですが、キリスト信者の使命は、単にミサに与ることではなく、ミサをとおして派遣され、キリストの福音を伝えるのが本来の使命です。
それなので、信徒の皆さんは、毎週それぞれの場所に派遣されているということを忘れないでください。もちろん「身構えろ」と言っているのではなく、思いや意識をもって、福音宣教を心がけて頂きたいということです。
また福音宣教は、家族、友人、同僚など身近なところから始めるのが大切だと思います。教会と家庭の奉仕の両立は、大変なところもあるでしょう。しかしそれがキリストを証ししていくための一つの方法ではないでしょうか。日曜日に未信者のご主人、あるいは奥さんがいるのに家のことは何もしないで、教会活動に入れ込んでいたら本末転倒です。証しにならないばかりか、キリスト教の誤った印象を与えかねません。
ですから、家事など家庭のことを先にやってから、教会に来て奉仕する必要はあると思います。そうすればきっとキリスト教の良さを家族に示すことができると思います。
私たちは皆キリストから派遣されています。キリストの心を自分の心として、家族や周りのことを配慮しながら、福音を伝えていきましょう。
主任司祭 西本裕二