「若者たち」を主題として2018年10月に開催されたシノドス(世界代表司教会議)の成果をもとにして、2019年4月2日に教皇フランシスコは、新しい使徒的勧告『キリストは生きています!――若者たちとあらゆる神の民へ』(Christus Vivit)を発表しました。文書そのものは3月25日に完成しており、教皇は「神のお告げの祝日」を記念してロレトの聖母教会で署名していました。この新しい文書は、神の呼びかけに応えた若きマリアに想いを馳せつつも、常に若々しいイエス・キリストの活躍を確認し、現代の青少年たちの可能性をも見直します。大人たちも自分たちの若かりし頃の夢と希望を想い出し、その頃の気力を取り戻して生きるように教皇は勧めます。以下に冒頭部分の数節を訳します。
- キリストは生きています!彼は私たちの希望であり、この世界で最も美しい若さをもたらします。キリストが触れるとき、あらゆるものは若返り、新たにされ、いのちに満ちあふれます。それゆえ、あらゆる若いキリスト者ひとりひとりに、私は申し述べたいのです。この文書の冒頭に掲げた言葉を、もう一度。『キリストは生きています!そして、彼はあなたが生きることを望んでいるのです』と。
- 彼はあなたの内にいます。彼はあなたと一緒にいます。そして彼は決してあなたを見捨てることはありません。それにもかかわらず、あなたは彼から遠く離れてしまい、さまようかもしれません。それでも、彼はいつでもあなたのそばにいます。生きつづけている御方として。彼はあなたによびかけます。あなたが彼のもとに戻って再びやり直すのを待っているからです。あなたがいまわしい過去に逆戻りし、悲しみに沈み、憤り、恐れ、疑い、失敗していると感じるとき、彼はあなたがたくましさと希望とを回復することができるように、いつでもそばにいてくれることでしょう。
- 私は、大いに愛情をこめて、この使徒的勧告をあらゆるキリスト者の若者たちへと捧げます。どうしてそうするのかと言えば、私たちの信仰から生ずるある種の確信をあなたに想い出させると同時に、あなたが聖性において成長し、あなたらしい召命に近づけるように後押しするためです。しかしその意図は先のシノドスのプロセスのほんの一部分にすぎません。むしろ、私たち全員が、ひとりの例外もなく、若者から挑戦を受けており、若者をどのように理解し支えているのかについての反省を迫られているのです。それゆえ、私はこのメッセージをあらゆる神の民、つまり司牧者および信仰の目覚めを実感する人びとにも向けています。こうして私はある場面では若い人たちに直接的に語りかけますが、他の場面では教会の識別に資する、もっと総括的な見解を提案します。
いま訳したのが「序文」の一部です。その後は、第一章「聖書における若者」、第二章「若々しいイエス」、第三章「いまの現状」、第四章「福音」、第五章「若者」、第六章「根をもつこと」、第七章「若者の司牧」、第八章「召命」、第九章「識別」と続きます。青年イエスの新鮮な活躍が世界を変革する教会共同体の誕生につながりました。
教皇の所属しているイエズス会も青年たちの信仰刷新運動でした。
- 神の呼びかけに耳を傾けてから
- 自分の生き方を識別して
- 一歩踏み出すことが不可欠です。
若者たちを励まし、いっしょに前進してゆく、という責務が、大人としての私たちにはあります。
協力司祭 阿部 仲麻呂