今秋Amazonプライムビデオの配信ドラマとして「MAGI 天正遣欧使節」という番組が配信されます。この作品、若桑みどり著『クワトロ・ラガッツィー天正少年使節と世界帝国』が原案で、鎌田敏夫の脚本によるものです。16世紀終盤、遠い東洋からリスボン経由でローマに行く天正少年使節の壮大なドラマ、NHKの大河ドラマでも扱うことはありませんでした。あまりに宗教的テーマで、また莫大な経費が掛かることが想定されるからです。今回はAmazonという巨大なスポンサーがついたことで実現可能となったのでしょう。

復活祭の翌日、早朝5時18分鷺沼発の電車に乗り、東部動物公園で東武伊勢崎線に乗り換え、足利市駅で下車。撮影場の「足利学校」に向かいました。足利学校が有馬のセミナリオ、敷地内の孔子廟が聖堂、方丈がセミナリオの生徒たちの教室・寝所、書院が宣教師たちの部屋という設定での撮影です。トレント公会議後から第2バチカン公会議まで行われたラテン語のミサ、聖体拝領、洗礼式などの場面を撮影していくわけです。そのラテン語や宗教的所作の指導です。

中学、高校ぐらいまで与ったミサをあれこれ思い出しながら行ったのですが、詳細は覚えていません。そんな時、参考になったのは、「聖ピオ十世兄弟会」のHPでした。彼らはルフェーブルというスイスの大司教が第2バチカン公会議の決定に従わず、トレント公会議以降の典礼を固執しているグループなのです。そのグループのHPがこんなところで役に立つとはと、なんとも不思議な気持ちになりました。思えば、浦上や五島の潜伏キリシタンたちは先祖伝来口伝で伝えてきたお祈りを明治以降、パリ外国宣教会の指導で新しいお祈りに代わって、今までの祈りを忘れ去ったのでしたが、生月などのカクレキリシタンはカトリックに復帰しなかったが故に、伝えられたオラショを継承して、皆川達夫先生らの努力によって、音源を後世に残すことができた事例とだぶる感じでした。

5月にはスペインでの撮影があるそうです。もちろん、一般対象のドラマですから、脚本の内容には納得がいかない面が多々あるのですが、益となる面もあるわけで、11月の配信を楽しみにしたいと思います。

主任司祭 松尾 貢

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