​「聖性」をテーマに、フランシスコ教皇の使徒的勧告

アイキャッチ用 松尾神父の今週の糧

長崎港を出て外洋に出る時、右手の高台に白亜の教会が見えてきます。往年の美男俳優・上原謙が二番目の夫人と結婚式を挙げた教会としても知られている神の島教会です。その教会に続く長い階段を上ると、左に少年の像があります。聖ドミニコ・サヴィオ像です。「え~、YOUは何でこんなところに建っているの?」と突っ込みをいれたいほどです。サレジオ会関係の教会であれば、サヴィオ像はよく見かけますが、サレジオ会とあまり縁がない処に、この聖人の像を見つけた時は驚きました。少年聖人と言えば、12歳のルドビコ茨木、15歳のトマス小崎など長崎ゆかりの聖人が沢山いるのですが、殉教者で証聖者ではありません。当時の主任司祭がベビ-ブーム時代の多くの少年少女に、列聖されたばかりのサヴィオをモデルとして示したのだと推測されます。

当教会の保護聖人ドメニコ・サヴィオの祝日は丁度本日5月6日にあたります。彼は1842年にイタリアのキエリで10人兄弟の長男として生まれ、12歳の時ドン・ボスコと出会いオラトリオで生活することになります。3年後モンドニオで帰天、15歳の若さでした。1954年に列聖されました。この聖人の特徴は、聖性へのあこがれです。七歳で初聖体を受けた時の決心が「罪よりも死を」でした。また13歳の時に聞いたドン・ボスコの講話がきっかけで、聖人になりたいと強く希望し、ドメニコは聖性へのあこがれを打ち明け、喜び、勉強、祈り、周囲の友人への愛の行いが聖人になるための秘訣であるというアドバイスを受けます。

最近、教皇様は“聖性”をテーマに使徒的勧告を発表されました。マタイ福音書5章12節「喜びなさい、大いに喜びなさい」からメインタイトルを取っています。聖人になる秘訣は喜び、という発想はドメニコと共通しているところがあります。教皇フランシスコのルーツはドメニコ・サヴィオの育ったモンドニオに近い処ということも奇遇と言えます。

「『喜びなさい、大いに喜びなさい』、イエスはご自分のために迫害され、侮辱される人々にこのように言われました。主はすべてを求められますが、主がお与えになるのは、真の命、幸福であり、わたしたちはそのために創られているのです。主は私たちが聖なる者であることを望まれます」(使徒的勧告より)

主任司祭 松尾 貢


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