先日、32名で長崎県五島列島を巡って来ました。熊本地震の直後であり、今なお余震が続く中での九州行きに不安がる方も当然いました。熊本の被災者のために各教会でお祈りをしましょう、そんな想いで実施された巡礼でした。最初に訪れた久賀島の旧・新五輪教会。その次に巡った奈留島の江上教会。いずれも聖ヨセフに献げられた教会でした。祭壇の上に、幼きイエス様を抱っこしているヨセフ様を見て、「珍しいですね。初めて見ました」という方が多数おられました。ボランティアガイドさんが「ヨセフ様が幼子イエス様を抱っこしていても、なんもおかしかことはなかでしょう」という説明に、納得でした。

2016年度版『カトリック教会情報ハンドブック』を調べると、五島列島にある教会(ミサが定期的にささげられている巡回教会を含む)は50を数えます.そのうち7つが聖ヨセフにささげられています。この比率は確かに高いといえます。東シナ海や五島灘で漁をする父親が多い地域だけあって、父親の安全を祈る気持ちが強いからかもしれません。

本日5月1日はメーデーとして知られています。1886年米国の労働者の8時間労働制要求の示威運動が起源といわれ、国際的な労働者のお祭りとなっています。カトリック教会では1955年にピオ12世教皇がこの日を労働者の模範であるヨセフの保護のもとに置き、勤労者聖ヨセフの記念日としました。聖ヨセフはイエス・キリストの養父として、大工の仕事にいそしみ、イエスとマリアを養いました。マタイ福音書を読むと次のような箇所があります。イエスが故郷ナザレに帰り、会堂で話をした際、同郷の人々がイエスの知恵に驚き、たがいにいぶかしんだことが強調されています。「この人は大工の息子ではないか」(マタイ13・55)。大工だったヨセフのもとで、お手伝いをする少年イエスの姿を17世紀のフランスの画家ラ・トゥールは美しく描いています。

労働についての教会初の回勅『レールム・ノヴァールム(労働者の境遇)』発布90周年にあたる1981年、ヨハネ・パウロ2世教皇は『働くことについて』という回勅を出し、労働の霊性的な面に光を当てました。働くことは創造主の活動に参与することであり、労働の人キリストに倣うことである。更にキリストの十字架と復活の光の中で、私たちの労働を捉えていく必要がある、と強調しています。

主任司祭 松尾 貢
LINEで送る