灰の水曜日

2月22日の「灰の水曜日」から四旬節に入りました。四旬節は復活祭を迎えるための準備の40日間を指します(正確には主日は「復活を記念し、喜び祝う日」として含まれません)。四旬節は教会にとって最も大事な典礼の季節です。この期間、カトリック信者は「大斎、小斎」の犠牲のつとめがあります。

これは「愛のわざ」とも言われ、キリストの受難を黙想し、そして苦しんでいる人たちと気持ちを共にするために自主的に喜んで行うものです。ですから今年は特に戦渦にあるウクライナの人びとやトルコ・シリアの大地震で被災された人びとと苦しみを共にする心で行いましょう。

「大斎、小斎」は、灰の水曜日(2月22日)と聖金曜日(4月7日)の年2回行いますが、「大斎」は1日の食事のうち1回だけ十分に食べ、2回を減らすという犠牲で18歳以上60歳未満の信者が守ります。「小斎」は肉を食べないという節制ですが、肉が嫌いな人にとっては節制になりませんので、肉を食べないのはもちろんのこと、お酒やタバコ等の嗜好品(好きなもの)の節制に代えることをお勧めします。14歳以上の信者が守ります。ただし、どちらも病気や出産、また精神的、肉体的な重労働による妨げがある場合には免除されます。

世界最大のカーニバルである「リオのカーニバル」は、実は四旬節と少し関わりがあります。ブラジルはキリスト教国なので、四旬節前の火曜日まで食べて騒いで、四旬節を節制して過ごすことから来ていて、つまりカーニバル(謝肉祭)は、ラテン語のカルネ(肉)、バーレ(さらば)からの語源で“しばらく肉を断つ”ことを意味しています。

かつては厳しい規定がありました。大斎・小斎も7歳以上のすべての信者が対象でした。今は各自の判断に任せられていますので、家庭にあっては小学生でも親と共に少し何か我慢してみるのも良いのではないでしょうか。また今は高齢化社会のため60歳はまだ若いと思いますので、対象年齢は過ぎても、できる方は進んでやって下さい。司祭、修道者の中には高齢であっても実行している方はいます。また私たちにとって、年2回は本当に僅かなものです。2回とは限らず、四旬節中はもっと節制しても良いかもしれません。

修道院、また家庭でも、四旬節中は、おかずを少なくするとか、金曜日は、肉や果物を出さないといった犠牲を捧げているところもあります。そしてその分のお金を苦しんでいる人に献金するというやり方もあります。

信者の皆さん、どうぞ今年も、単に「守る」という気持ちで義務として行うのではなく、自分の信仰生活に「必要なもの」として、体調や事情をふまえて無理のない範囲で、喜んで積極的に果たしていただきたいと思います。

主任司祭 西本 裕二


おすすめ記事