「山上の垂訓」(フラ・アンジェリコ画)

3月5日付のカトリック新聞の記事に、教皇一般謁見講話の見出しとして「宣教は羊のように柔和で」という言葉がありました。教皇は、私たちキリスト信者の宣教の熱意とその影響力について語り、その後、それだけではいけないと指摘されています。そしてキリストが弟子たちに「狼の群れの中の羊」になるよう求め、神に守られて、「柔和で純心で献身的に」と言って、宣教に対してのあるべき姿勢を私たちに求めておられます。

この教皇の言葉に、私は改めて考えさせられました。それはこれまで宣教は、何よりも熱意が求められると思っていたからです。しかし、教皇は羊のようになることが大事であると言われています。これは単に宣教活動を受け身の姿勢で行うことが大事だと言っているのではなく、むしろ「柔和で純心で献身さ」をもって行うことでより大きな力となり、効果をもたらすと言っているのだと思います。これは大事な側面を私たちに教えてくれています。それは“宣教に対する姿勢”です。

私たちもそれぞれが福音を伝えるとき、人との関わりにおいて、議論と自己弁護をして言葉で伝えていくのではなく、熱意と共に、「柔和で謙遜になって」、誰からも親しまれる者として、神を証ししていくことが大事であるということです。

そして、それによって、教皇も言われたように、キリスト信者は、神を「近くにおられ、優しく、いつくしみ深い方」として、伝えて行くことができるのではないでしょうか。

主任司祭 西本 裕二


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