フランシスコ教皇は先週9月6日日曜日正午のお告げの祈りの席で、難民の家族を受け入れるように、全ヨーロッパのカトリック教会に呼びかけられました。

皆様ご存じのように、現在、内戦や政情不安な北アフリカや中近東諸国、特に最近はシリアやアフガニスタンからの難民が大挙して欧州を目指しています。当初は北アフリカから舟でイタリアやギリシャに渡るルート、最近は陸路トルコを通って、舟でギリシャやマケドニアへ渡り、陸路ハンガリーやオ-ストリアを通り、ドイツへ入国しようとする難民が急増しています。それに対して、雇用問題や右翼勢力をおそれる政府や難民受け入れに反発するグループの動きも目立ってきています。そういう状況下で、教皇様のアピールが出されたわけです。

教皇様は前日9月5日にコルコタの福者マザー・テレサの帰天を記念したことに触れられ、「神の慈しみは、マザーが証したように、わたしたちの業を通して知られるようになる」と話されました。死と戦争と飢えから逃れるために、新しい生活への希望に向かって歩んでいる数万人もの難民を前に、福音はわたしたちに最も小さく見捨てられた人たちの“隣人”になるように招いていると教皇は説き、ただ「元気を出して、頑張れ」と言うだけではなく、彼らに具体的な希望を与えることが大切と述べられました。

今年12月8日から始まる「いつくしみの特別聖年」を前に、教皇はヨーロッパ各地の各小教区、修道共同体、巡礼聖堂に向け、福音を具体的に形として表し、それぞれが難民の1家族を受け入れるよう呼びかけられました。そして、このことを特別聖年を準備する具体的しるしにするよう願われ、お膝元バチカンでも数日中に難民2家族を受け入れると発表された。

かつて、バチカンの「移住・移動者司牧評議会」議長の任にあった故・濱尾枢機卿様にインタビューしたときの言葉が思い出されます。「ナザレのイエズス様の聖家族だって、エジプトの難民家族だったんだよ」。バチカンでは無力な小さな部署でありながら、日本人としては初のバチカンの長官クラスの任にあった枢機卿様の熱い思いを懐かしく思い出されます。

主任司祭 松尾 貢
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