聖公会ナザレ修道院での研修会

アイキャッチ用 松尾神父の今週の糧

この夏休み期間中、聖書百週A・Bグループでは三鷹市牟礼にある聖公会ナザレ修道院エピファニー館で合同研修会を行いました。講師は三河島教会主任司祭の並木豊勝師。参加者は23名でした。テキストは『キリスト教理解のために』(中央協議会)の中の並木師が担当した第2部「救いの歴史から見たキリスト教」でした。師の話の出だしの部分をご紹介しましょう。

“神が自らを現わす方法は二つある。一つは被造物としての世界。この世界・宇宙の緻密さ、計画性を見る時、そこに知性を感ぜざるを得ない。作品を通して、作者に気づく必要がある。第二は歴史。“できごと”を通して神は自らを現わされる。そのことを体験した人たちがいる。それがイスラエルです……”。

80分を超える講義(並木節)と質疑応答で、聖書の奥の深さをあらためて堪能した貴重な時間でした。質疑応答の際の師の指摘は印象的でした。神の啓示の始まりは出エジプト3章12節。「わたしは何者でしょう。どうして、ファラオのもとに行き、しかもイスラエルの人々をエジプトから導き出さねばならないのですか」(11節)というモーセの質問に、神は答えられます。「わたしは必ずあなたと共にいる。この(次の)ことこそ、わたしがあなたを遣わすしるしである。あなたが民をエジプトから導き出したとき、あなたたちはこの山で神に仕える」(12節)。しるしに気づくか、気づかないか? 私たちは今日も問われています。

ところで、聖公会(英国国教会)は数あるプロテスタント教会の中でもっともローマ・カトリックに近く、新旧両教会をつなぐブリッジ・チャーチ(橋渡しの教会)と呼ばれます。「ヴィア・メディア Via Media 中道的立場」を主張し、宗教改革以前の誤謬は是正するが、初代教会以来の伝承は最大限保持するという姿勢です。したがって、ニケア信条や使徒信条を認め、主教・司祭・執事といった位階制度もご聖体に関しても同じ捉え方をしており、ナザレ修道院聖堂にも聖櫃のランプが灯っていました。日本語の「主の祈り」もカトリックと聖公会は同じ祈りを使っています。また、少数とはいえ、聖公会に修道者が存在することは、聖公会とカトリックの近さを証明しています。

主任司祭 松尾 貢

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