今週から、夏休みに入ります。榎本神父様は17日、野尻湖に向かいました。サレジオ学院中学1年生夏期合宿の責任者として、A組からD組まで4クールの生徒たちの指導にあたる2週間を過ごします。皆様は、この夏休み、どのような計画を立てていらっしゃるでしょうか。

先日の新聞に「夏の読書特集」が組まれていました。小学校低学年の部、中学年の部、高学年の部、中学校の部、高等学校の部対象に課題図書として18冊が選ばれていました。

その高校の部には、昨年ノーベル平和賞を受賞したマララさんの最新手記が選ばれていました。同じイスラム教徒として、イスラムの過激派や原理派の人に対して、コーランは女性の勉強を禁止なんかしていない、なぜ学校を破壊するの?と強く抗議しています。イスラム教の中でも将来、各派の改革と刷新、各派間の話し合いが実現することを強く希望したいものです。

18冊の課題図書のほかに、緑陰図書として40冊が選ばれています。高等学校の部に選定された本の中に、キリスト教関係の本が1冊含まれていました。『ひと粒の麦:内藤ジュリアの生涯』小石房子著(作品社刊)です。これだけのレベルのものをよく高校生対象の緑陰図書に推薦するなと、驚いてしまいます。

主人公は内藤ジュリア。丹波の八木城主・内藤宗勝の娘で兄は小西行長に仕えた内藤如安。兄は、関ヶ原の戦い後は加藤清正に仕えますが、キリシタン嫌いの清正の迫害をのがれて、高山右近が客将として仕えていた金沢・前田家に仕官します。ジュリアは兄(1565年京都で受洗)やイエズス会の修道士ヴィセンテ洞院の導きで、1596年頃オルガンティーノから洗礼を受けます。京都で多数の貴婦人の改宗に努め、日本最初の女子修道会ベアタス会を創設。1614年の禁教令で高山右近、兄・内藤如安らと共にマニラに追放され、同地のサン・ミゲル村で修道生活を送りました。

著者の小石房子さんは女性史研究家。女性史を書くことを使命とする小石さんにとって、なんとしても書き残しておきたい先達だったそうですが、長崎純心の片岡留美子シスターの『みやこの比丘尼たち』といった研究があってこそ書くことのできた小説だと思います。

皆様もこの夏、読んでみませんか。

主任司祭 松尾 貢
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