新年最初の日曜日1月4日、フランシスコ教皇は20名の新枢機卿の任命を発表された。バチカンと外交関係のないベトナム、ミャンマーからも選ばれた。新枢機卿20名のうち、教皇選挙会議(コンクラーベ)に参加できる80歳未満は15名で、欧州域外の出身者が3分の2を占めている。今回の任命により、新体制(125名)では欧州は57名と半数を割り込み、中南米18名、北米18名、アジア・オセアニア17名、アフリカ15名と、非欧州勢が54.4%となった。1939年、ピオ12世を選出したコンクラーベに参加した枢機卿のうちイタリア人だけでも過半数を超えていた時代と比べれば、まさに隔世の感。フランシスコ教皇が選出された2年前でも、コンクラーベに参加した枢機卿115名中60名が欧州出身だったわけで、2015年のこの状況は教会史上画期的な節目の年になりそうな気配がしてきます。
カトリック教会内での欧州の位置が相対的に低下していくことは、“普遍”を意味するカトリック教会の本質から見れば、本来あるべき姿に近づいているといえます。
ウクライナ問題、EUからの脱退問題、経済不況、分離独立運動、イスラム系移民の増大とその対応等など、いろいろな意味で2015年という年は欧州がどう動くのか、目を離せない1年になりそうです。
教会内部に目を転じてみると、今年は大聖テレジアと聖フィリッポ・ネリの生誕5百周年、サレジオ会創立者ドン・ボスコの生誕2百週年にあたります。あらためてこれらの魅力的な聖人の霊性に触れる年にしたいものです。
また日本の教会では、長崎大浦天主堂での信徒発見150周年にあたります。パリ外国宣教会日本管区長シュガレ師は「“信徒発見”という表現は正しくない。潜伏キリシタンによる神父発見、信仰告白だ」と強調します。1614年から始まった厳しい弾圧から250年。1865年3月17日、浦上の杉本ゆりさんら10数名が意を決して大浦天主堂のプチジャン師に信仰告白をしてから150周年目にあたる記念すべき年にあたります。この節目の年に、私たちも信仰の伝承という重要課題に対して、各自自分の信仰の姿勢を見直し、なにがしかの創意工夫とアクションを起こす一年にしていきたいものです。