福島市に「桜の聖母」という幼・小・中・高・短大の総合学園があります。経営母体はコングレガシオン・ド・ノートルダム修道女会。そこの短大で教えておられるシスターから伺った話です。
今回の地震で校舎や修道院に多大な被害を受けたこと。入学式や新学年度の始業をひと月遅らせ、5月の連休明けにしたこと。原発近辺の区域から避難してきた人びとのために修道院の一部を提供していること。原発の問題を抱え、不安のうちにいながら、「がんばろう、福島!」を合言葉に一歩ずつ前へ歩みだしていることなど、話してくれました。
その後、シスターから、今福島に生きる一人の教育者として、とても勇気と力をもらった記事として、「文芸春秋」5月号の立花隆さんの記事のコピーが送られてきましたので、その内容を皆様にも分かち合いたいと思います。
立花さんは終戦のとき北京にいて、避難生活や引き上げの際の理不尽な苦難体験やむごい大量死が周囲に起こるのを子供時代に見聞し、経験した世代です。この世代の方たちにとって、今回の東日本大震災の状況はあの頃の姿ととても重なる部分が多い。
子供の時に心的外傷を受けると、心理的にその傷からなかなか脱け出せなくなる「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」の話をよく聞くが、その一方で、そのようなトラウマ体験をした後で、むしろそのような体験をしたことが、その人の人生形成にプラスに働いて、人間的に大きく成長させる「外傷後成長」(PTG『ポスト・トラウマティック・グロウス』)という現象が過去あったし、最近世界的に注目されている。自分たちPTG第1世代として、ぜひ第2世代に期待したい、と結んでありました。
復活祭の折、仙台教区長・平賀司教様は「闇が深ければ深いほど、光は明るいのです」という希望と励ましのメッセージを教区民に送りました。福島の学校で働く方々にとって、立花さんの示唆と司教様の励ましのメッセージは大きな心の支えとなっているに違いありません。