先頃、劇作家・小説家の井上ひさしさんが帰天されました。皆さんの中にも、幼い頃、NHK連続人形劇「ひょっこりひょうたん島」が大好きで次回の放送を待っておられた方もいらっしゃることでしょう。名作「吉里吉里人」ではその奇抜な着想とユーモアで読者を楽しませてくれましたし、最近は「九条の会」などの民主主義を守る市民運動にも力を入れておられました。
井上ひさしさんは仙台のカトリックの児童養護施設、上智大学仏文の出身です。氏が児童養護施設時代、運営にあたっていたカナダ人修道士たちは母国から送られてきた修道服用の生地を施設の子供たちの服に転用して、自分たちはボロボロの修道服をまとっていた。そのような親代わりのカナダ人修道士に対する深い感謝と思慕の念を随筆の中で綴ったり、語っておられました。

横浜教区の多くの小教区と同様、この鷺沼教会もドイツ人のダルクマン師以来、多くのイタリアやアルゼンチンからの宣教師の祈りと働きによって発展し、充実してまいりました。20年ほど前になりますが、ある年配の鷺沼教会の信徒がこのように言っておられたのを思い出します。
「極東といわれる日本に、親兄弟、祖国と離れて宣教にこられた司祭に対して、人間的な欠点や好き嫌いを超えて、感謝の気持ちでいっぱいです」と。
これら諸先輩たちと信徒のみなさんが築き上げてきたこの鷺沼小教区のすばらしい伝統と活発な働きを尊重しながら、お手伝いしていきたいと思っております。なにしろ、教会の仕事は初めてで右も左もわからない状態ですので、ご迷惑をおかけすることが多いと思いますが、どうか、よろしくお願いいたします。

主任司祭 松尾 貢
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