3月19日に聖ヨセフの祝日があることから、教会は3月を聖ヨセフの月としています。教皇フランシスコは、聖ヨセフを「平凡な社会人の模範」と言われました。それはヨセフが単に平凡な人であったということではなく、私たちにとって身近な模範となる人であるということを示しています。
ヨセフの特徴は、「沈黙の聖人」とも言われているように、まさに沈黙だと思います。それは聖書においてヨセフに関する記述は少なく、彼の言葉はまったく記されていないからです。しかしヨセフは、マリアと喜びや苦しみを分かち合いながら、イエスを養い育て、2人を危険から守りました。これがヨセフの偉大さです。つまりヨセフは、目立たない存在であったけれども、イエスとマリアを守り助けるために陰で大きな力となったということです。
私自身、ヨセフの霊名をいただいていますが、実は自分で決めたのではなく、受洗前はあまり聖人の名前を知らなかったので、当時の主任司祭に決めてもらいました。
ですから正直言って最初はあまり愛着が持てませんでした。しかし司祭になってからヨセフの霊名をつけた有難みというものを少しずつ感じるようになったと思います。
それはヨセフのように陰で人を引き立て、支えることができる人は、言葉はなくても、大きな力になるからです。これほど素晴らしい生き方があるでしょうか。私は、特にそこに魅力を感じて、自分自身そのような人になりたいと思っています。
神が聖ヨセフを教会に模範として示されたのは、キリスト信者の生き方こそ、陰日向なく働くことが大事だからだと思います。ですから、私たちは常に聖ヨセフの生き方を自分の生き方として生きるように心がけていきましょう。
主任司祭 西本 裕二