「主の祈り」について、多くの注解書や説明書があるが、中でも最も秀逸と呼ばれるものにスーネンス枢機卿の説明書きとそれに、殉教者聖チプリアヌスの説教が残っている。全部で36章が保存されているが、少しずつ触れてみよう。

第一章

殉教者チプリアヌスには、迫害の最中、明日の命がどうなるかといった厳しい現実にありながら「主の祈り」の持つ深みにどれほど慰められたのだろうか。ここに幾つかの霊験あらたかな特徴を列挙してみる。祈った者が必ず経験する幾つかを取りあげてみよう。

主が命じたあの祈りはまさに人の知恵ではなく「神の教え」であり、私たちの希望の最後の動機づけである。
人の心を奮い立たすエネルギー源でもある。
人の歩むべき道を指し示す標識である。
このままでは溺れてしまう、瀬戸際に投げられた浮き輪であろうか。
この地上にあって、何を信じたらよいかを丁寧に教えさとしてくれる
この世ではなく神の国のモードに局面打開する不思議な祈り。

では、ゆっくり味わいながら祈ってみよう。

主の祈り

天におられるわたしたちの父よ、み名が聖とされますように。
み国が来ますように。
みこころが天に行われるとおり、地にも行われますように。
わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。
わたしたちの罪をおゆるしください。
わたしたちも人をゆるします。
わたしたちを誘惑におちいらせず、
悪からお救いください。

主任司祭 長澤幸男

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