学校にいると、いろんな機会に生徒や学生たちに話したり、あるいは何かの会合で挨拶しなければなりません。「校長とは“挨拶業”」だと考えたこともありました。しかし、話していて何時も気持ちが良かったのは「入学式と卒業式」の式辞でした。入学式の場合は、入学を希望する生徒・学生とその父母ですから、“よし! がんばるぞ!”という気持ちが新鮮な顔の表情を作っています。同じく卒業式では、卒業していく人たちが、見慣れているいつもとは違う緊張した表情を作っており、その新鮮さと緊張感が式場を包み込み、その中で話す喜びがあったからです。

将棋の世界では「坂田三吉」という伝説の「王将」がいます。勝負の世界ですから、好、不調があります。不調の時にどのように彼はその流れを変えたのでしょうか? 勝負師として、彼は食事には気をつけていましたが、何時も同じペースで食べるのではなく、一週間のうち一日だけは腹一杯食べ、他の日は、腹八分目にする、そのリズムを変えてみるように若い人たちには指導していたと言います。「坂田さんの言葉は、マンネリズムに陥ってはいけないということを教えるものであった。不調の時は、身辺のことにすこしでも変化をつけると、思いがけない気分転換が出来る。坂田さんはそれを言おうとしたのだと思います。」(大山康晴「勝負の世界」)

生きることは「マンネリ化」との戦いだともいえます。時々は自分のやっていることの流れを意識的に変えることも必要です。その良い機会が、お正月とか朝です。

八木重吉の詩です。

あさ
つゆをみると
むねがふるえる

今年も、そして毎日、マンネリの流れを“少し”断ち切る努力をしたいものです。そして“むねがふるえる”のを体験したいものです。

主任司祭 田中次生
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