アイキャッチ用 田中神父の今週の糧

年末に小学校の同級生“山チャン”から荷物が届きました。何だろうと思いながら解いてみると、中から何とりっぱな額縁入りの油絵が出てきました。満開の桜の木が描かれていました。その夜、早速山ちゃんに電話すると「赤羽星美小の校庭に咲く桜の木」だということでした。昔の思い出話やロボコンの話に花を咲かせましたが、「春に桜の木の下で同窓会を開こう!!」で意気統合し、二人だけで勝手に「同窓会開催」を決定してしまいました。

その山ちゃんは、確か小学三年生の時から卒業するまで何時も一緒でした。同級生で二人ともチビだったので、一クラスしかないから列を作って並ぶときも、運動会で走る時も、何時も一緒でした。学校のすぐ近くに住んでいたので、星美小を卒業してからも何時もシスターを通して連絡が取れていました。山チャンが結婚するときも、彼女を紹介するからと東京駅で食事しました。私の叙階式にも妹さんと一緒に参列してくれました。そしてゆっくりと飲みながら話そうと一晩泊まりこんだこともありました。

小学生の時は、私とはほとんど実力の差はなかったはずなのにと思いながら、その絵をオフィスの正面の壁に飾ることにしました。そして毎朝毎晩その絵を見て、昔の同級生のことを懐かしく思い出しています。

昨日、事務の人から「お知らせの原稿」を頼まれた時、瞬間的にひらめいたのは、昔聞いた画家マティスのエピソ-ドです。彼はいよいよ死期が近づいた時、教会の神父に来てもらい「病者の塗油と臨終の聖体拝領」をお願いしました。しばらく静かにお祈りをした後、側にいる奥さんに鉛筆と画用紙を所望しました。視力も無くなり鉛筆を動かすことも大変なのに、彼はキャンバスの上に見事なキリスト様の顔を描きました。そのキリスト様の崇高な表情を見て、神父をはじめ周囲にいた人たちは、びっくりしました。一人が尋ねたのです。「目も不自由なあなたは、どうしてこんなに綺麗にキリスト様の顔を描くことができるのですか?」と。かれは静かにこう答えました「今はほとんど私は目が見えません。しかし、生きている時に私の心には何時もキリスト様を描いていました。だから目が見えなくても大丈夫なのです。こころの中のキリスト様をキャンバスに写すだけでよいのですから!」と。この2008年こころの中にイエスさまを描き続けたいですね!!

主任司祭 田中次生

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