「堅信の秘蹟」を受ける準備のための勉強会を始めています。堅信式に参加される信者の皆さんも、自分の堅信式のことを思い出して下さい。
秘蹟の中で「油」=聖香油は重要な役割を持っています。洗礼・堅信・叙階・病者の途油と七秘蹟の中で、四つの秘蹟で使用されます。基本的には「オリーブ油」が使用されます。古代から「オリーブ油」は小麦、ブドウに次ぐ三番目に大切なものでした。食用油、医療(他の薬物を溶解)、美容と健康等に使用されました。太陽の熱を一杯に受けて成長することから「豊作・多産・祝福」のシンボルとなり、「繁栄・勝利・“命といやし”の力と恵み」を意味するようになりました。
オリーブの木は、神の祝福を受けた義人に喩えられ(詩篇52:10)、創世記で神が人間に“いのち・息・生気・神の霊”を注がれた事のしるしとして、“オリーブの油”を注ぐように儀式化されていきました。
モーセは、油を注いで幕屋とその中にある祭壇等すべてのものを聖別し、またアロンの頭に注いで彼を聖別したのでした(レビ8:12)。旧約時代には、「祭司・預言者・王」に油を注いで聖別するように発展していきました。これがユダヤ人の中でごく自然に「救世主待望論」と結びついたのでしょう。
イエスさまは、公生活の始めに故郷のナザレで、「主の霊がわたしの上におられる。主はわたしに油をお注ぎになったからである。主が私をお遣わしになったのは、貧しい者に良い訪れを伝え・・・主の恵みの年を告げるためである」(ルカ4:18)とのイザヤ書の予言が、自分において実現したことを告げられました。
キリスト者は「イエスを神から油注がれたものとして」信仰告白するのです(使徒4:27)。そして神が、“聖霊を注いで”油注がれたキリストと一致させて下さったことを信じているのです。「私たちを、あなた方とともに強めてキリストに一致させ、また私たちに油を注いで下さったのは神です。また神は、私たちに証印を押し、恵みの手付けとして私たちの心に聖霊を与えて下さいました」(IIコリント1:21~22)とパウロが教えているとおりです。
堅信を受けることで私たちは、油注がれたキリストの神秘体に属し、キリストとともに「王・祭司・預言者」(Iペトロ2:9)として、聖香油で聖別されるのです。