トスカーナの修道院を訪れて

アイキャッチ用 松尾神父の今週の糧

先日、フィレンツェ近郊の CERTOSA 修道院を初めて訪問することができました。丘の上に広がる広大なオリーブ畑と緑の大地。隠修士の生活と共同生活の共存を目指した城砦のような修道院はまさに中世を髣髴させるものでした。イタリア語の CERTOSA はラテン語ではカルトゥジオ修道会、フランス語ではシャルトゥルーズ修道会と言われます。このカルトゥジオ修道会について、中世から近世にかけて次のような格言がありました

「 Cartusia numquam reformata, quia numquam deformata. 」
(カルトゥジオ修道会は決して改革されなかった。なぜなら一度も退廃しなかったから)。あのカルメル会改革運動で有名な十字架の聖ヨハネもカルトゥジオ修道会入会を強く願っていながら、大聖テレジアの説得で思い留まったというエピソードがあるくらい、この会は教会の中で長く燦然と輝く魅力を放っていたのでした。しかし、この名門修道院も現在わずか4名の高齢の修道者しかいないのです。数年後か十数年後にはイタリア北部パヴィアにある同会の修道院に吸収されていく運命にあります。イタリアの各地で、かつての修道院がホテルやレストラン、美術館に姿をかえている寂しい現実があります。

しかし一方、同じフィレンツェ郊外ロッピアーノにはフォコラーレ運動の拠点があり、たくさんの青年男女が世界中から集まっています。キアラ・ルービック女史が1943年に創設したこの運動の特徴は、その運動を構成する人たちの多様性、普遍的な広がり、カトリック以外のキリスト教諸派だけでなく、諸宗教や善意ある人々と友好的協力関係を持っているのが特徴で多くの信徒や聖職者を惹きつけています。

今日は聖霊降臨の祭日です。教会の2千年の歴史を眺めると、ある修道会が衰えたり、消えてはいっても、すぐにまた別の新しい運動が起こったり、改革運動が絶え間なく盛り上がってくるのをみることができます。まさに、教会にはいつの時代にも聖霊が息吹き続けているのです。

主任司祭 松尾 貢

おすすめ記事