先日、1月21日の朝ミサの際に説教していて、過去の出来事を懐かしく想い出しました。
1983年に15歳で川崎サレジオ志願院に入ったときのこと。そこの図書室にてワイズマン枢機卿の『ファビオラ』という小説を見つけました。涙を流して幾度も読み返しました。キリスト教が迫害された3世紀から4世紀の時代に古代ローマ帝国の貴族の家のファビオラという女性が聖アグネスの生き方から学んで信仰を深める様子が描かれていました。
聖アグネスは、わずか13歳で殉教します。ローマ市長の息子との縁談を断ったことにより、逮捕されて処罰されました。聖アグネスはキリストを選びました。幼くても純粋に信仰をあかしして、キリストといっしょに歩む決意を表明できる。いま、始める。大切な相手といっしょに生きる。人間は年齢に関係なくキリストといっしょに歩める、ということを聖アグネスから学びました。そして、当時15歳の私は13歳の彼女を尊敬し、追いかけることにしました(二つの気持ちが混ざりました。1.すごいな! 2.負けてはおれん!)。その後、35年間にわたって聖アグネスは自分にとっての保護聖人となり、妹のように大切な家族となりました。聖人といっしょにキリストと親しく歩むのは愉しいことです。1997年から1999年にかけてローマに留学した際も、毎週、市バスに乗って「城外の聖アグネス聖堂」に通いました。大切な聖アグネスに会いに行くために……。
協力司祭 阿部仲麻呂
image © 「聖アグネス」(阿部仲麻呂神父・画)