​教皇、プレゼピオ発祥の地グレッチョヘ

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待降節に入った12月1日、教皇はプレゼピオ発祥の地イタリア中部ラツィオ州リエーティ県のGreccioを訪問なさいました。日本では米国の影響を受けて、クリスマスというとクリスマスツリーが主流ですが、本場イタリアではなんといってもPresepioです。

グレッチョは標高約700メートル、人口およそ1500人の町。アシジの聖フランシスコは、たびたび同地を訪れ、隠遁生活を送っていました。1223年同地に滞在していた聖フランシスコは、降誕祭の15日前、友人のジョバンニ・ヴェリタに、馬小屋を作るのに適した洞窟を探し、そこに牛とロバを連れて行き、干し草と飼い葉桶を置いてベトレヘムの洞窟を再現するよう依頼しました。そして、その年の降誕祭の夜、最初のプレゼピオを前に深い観想状態にあった聖フランシスコはイエス・キリストの名を口にするだけで唇を震わせ、目は涙で濡れ、“ベトレヘムの幼子”と呼んだそうです。

グレッチョに到着された教皇はリエーティ教区司教やフランシスコ会士ら迎えられ、プレゼピオの洞窟に下りられ、古い壁画を前にしばしの祈りを捧げられました。続いて教皇は、プレゼピオの意味と価値を示す使徒的書簡『Admirabile signum』に署名なさいました。この書簡の内容を一部、ご紹介しましょう。

「プレゼピオの素晴らしいしるしは、どれほどキリスト者に親しまれ、驚きと感嘆をいつも呼び起こしてくれます。イエス誕生の出来事を再現するのは、神の御子の受肉の神秘をシンプルに喜びをもって告げ知らせることと同じです」

「なぜプレゼオピオは驚きと感動を与えるのでしょうか。それは第一に、神の優しさを表しているからです。宇宙万物の創造者が私たちの小ささにまで身を低くして下さいました」

「プレゼピオのさまざまなしるしを再考したいと思います。まずそれは、暗闇と夜のしじまの中の星空を表現しています。……私たちの存在の意味についての決定的な質問に答えるために、神はその瞬間にさえ、私たちから離れられません。私は誰? どこから来たの? なぜこの時代に生まれたの? なぜ愛するの? なぜ苦しむの? なぜ死ぬの? これらの質問に答えるために神は人となられました。神の親密さは、暗闇のあるところに光をもたらし、苦しみの闇の中を通っている人を教え導きます」

主任司祭 松尾 貢


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