人が成長するために世代交代が必要です。しかし、世代交代は関わりの中で行われていくものです。
弟子たちも一人ひとりがキリストの証し人として成長するために、世代交代が必要でした。いつまでもイエスを頼りにして生きていたら、自分の足で歩けなくなり、また自分の持っている能力を十分に発揮することもできなかったでしょう。そしてまた福音宣教という使命感を持てないまま、生きることになっていたかもしれません。
イエスは、それがよく分かっていたからこそ、一緒に歩まれただけではなく、40日間も弟子たちに現れて、希望と力を与えられ、引き継ぎをされたのだと思います。このようなことを考えますと、今日祝う「主の昇天」の出来事は、一言でいうならば“バトンタッチ”と言えるでしょう。
バトンタッチは、リレー競技でバトンを次の人に手渡すことですが、一般的な意味合いは、仕事や責任などを後継者に引き継ぐことも指します。福音宣教のバトンタッチは、単に後継者だから自動的に引き継いでもらうものではなく、一緒にいる時間、重なる時をもって、しっかりと次の人に引き渡さなければならないと思います。
どこの教会でも、世代交代が行われています。そして、これまでの世代交代は、若い世代に単に任せるだけのものでした。そして、いきなり丸投げしてしまう教会もありました。しかし、そのような教会は、逆に若者が離れてしまいます。突然任せられたら誰もが負担に思うからです。
ある教会では、以前、若者たちが少なくなって青年会が消滅しかけたことがあります。そのとき、壮年会のお父さんたちが危機感を感じて、積極的な姿勢を示されました。
それは若者に何でも任せるのではなくて、時間をかけて一緒にやって、引き継いでいこうという提案でした。それで壮年会の高齢者の方も一緒になって、残っている青年たちを巻き込んで一緒に行事を行い、一緒に食事して、一緒に話し合いも行ってきたそうです。そのおかげで青年会は復活しました。つまり再び教会に青年たちが集まるようになって、今、彼らは自主的に活動して喜んで教会に奉仕しています。
都筑教会も福音宣教の担い手として、次の世代にバトンタッチするためには、大人が逃げないで、若者と共に歩まなければならないと思います。
一緒に働き、一緒に過ごした時間が彼らの喜びと自信につながっていきます。そして彼らも自分の信仰をしっかりと次につないでいこうと思うのではないでしょうか。
主任司祭 西本 裕二