以前、横浜の日本ハリストス正教会の巡礼を企画したことがあります。参加希望者が多く、2回に分けて実施したのですが、2回目の参加者は50名ほどで2グループに分けて正教会司祭様の説明を伺いました。その質疑応答の中で、カトリックの聖体拝領と正教会の違いを伺いました。日本ハリスト正教会では聖体拝領のことを“領聖”というそうです。聖なるものを拝領するという意味です。日本ハリストス正教会発行の『親子で学ぶ正教会~聖体礼儀について』という小冊子には、次のように説明されていました。
「御聖体をいただく前に“領聖祝文”という祈りを唱える。この時、腕を胸に十字に組むよね。これは天使が羽をたたんだ姿をあらわしている。その後、信者さんは静かに並んで、両手を胸に組んだまま神父さんに近づく。自分の番が来たら、神父さんに自分の聖名を言う。そして御聖体を口に入れてもらい、赤い布でくちびるを拭き、ポティールに接吻するんだ」。日本ハリストス正教会の聖体拝領の作法がよくわかる説明でした。カトリックでも両形態による聖体拝領も可能ですが、一般的にはホスティアだけの聖体拝領です。しかし、正教会では必ず両形態による領聖だそうです。カリスの中の御血にキリストの身体であるパン(イースト菌で膨らんでいる)を割って入れ、スプーンですくって信徒の口の中にいれるのです。
病者の塗油の秘跡で故水野恭子さんを訪ねた時、水野さんが「御血をお願いします」と筆談で言われたことを思い出します。ホスティアをあげることはお医者さんから止められていましたが、御血は液体ですから可能なわけです。“旅路の糧”といわれるご聖体に対する故人の強い思いに感動させられました。最近、ある方から、小麦アレルギーなのでホスティアを頂けない、という相談を受けました。米国ではアレルギーのための特別なホスティアが作られているということを宣教師の方から聞いたことがあるので、八野さんに調べていただきました。そうしましたら、大分男子トラピストに小麦アレルギーの方用のホスティア(米国の女子ベネディクト修道院製)があることが分かり、早速50枚送っていただきました。アレルギーの方がおられましたら、ぜひお知らせください。